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小売電気事業者になる必要はあるのか

久保氏:そもそも新電力、小売電気事業者になる必要性は何なのか。もっと深く考えてほしい。

村谷氏:本業の商品力がないなら、電気とセットにしたところで売れるはずがない。なぜ電気がついたら売れる思うのか。ガス会社などは良いポジションにいると思いますが、現時点では電気とガスのセット割引くらい。

 私の考える理想形は、発電と小売りをセットにすること。英国のグッドエナジーのように、ブランディングにマッチした発電所を自分たちで作る。こういう人たちが生き残っていくと思っていた。そうじゃなかったら媒介でも代理でもいいんじゃないかな。

久保氏:その市場は1つ、あると思います。でも、プレミアムでニッチですよね。1兆円にいかないくらいの市場規模かな、と。市場の大部分が小売事業ではないでしょうか。営業力が売りなら、良いパートナーがいれば媒介で十分。取次になる必要もありません。小売電気事業者になるからには、別の意義があるはずです。

柏崎:事業をやる意義というのは、ものすごく重要です。事業をやるときは、まず「なぜこの事業をやるのか」を明確にしないと、すべてがブレてくる。意義を明確にして、従業員にしっかり理解してもらえば、おのずと戦略・戦術が明確になります。

 エフビットの場合は、社是は「和をもって尊しとす」としました。原子力発電所事故があって、太陽光発電バブルが起きた。メガソーラーで儲かった人たちが騒いでいるばかりの電力業界ではく、秩序ある業界であってほしいと考えました。そして、エフビットはその中の1プレーヤーでありたい、と。業界を変えていく会社の1つにしていこうと、社員にも何度も何度も話をしました。

需要家は電気料金の単価に関心がない

久保氏:新電力がベンチャー企業として勝負する以上、人のモデルを真似するのは基本の1つだと思うのですが、今の新電力はあまり真似をしませんよね。例えば、新電力Looop(東京都台東区)の「基本料金ゼロ」というメニューは、分かりやすく、ユーザーに受け入れられましたが、他社は追随しませんでした。Looopがこのメニューを継続しているということは、一部逆ザヤの顧客がいたとしても、それ以上にうまく言っているという証左なんですけれどね。

 全面自由化を迎えて、新電力各社は「基本料金が大手電力の○%引き」「従量料金が△%引き」というアピールをしていましたが、ユーザーにしてみたら電気の単価なんてどうでも良い話だと思うのです。その証拠に、「新規契約でキャッシュバック5000円」というキャンペーンはものすごく当たりました。

 日経エネルギーNext経営塾では、電力業界のみなならず、他業界での成功事例も参考にしながら、自社に合った戦術を自力で作るための方法論を身に着けてもらいたいと思っています。

久保氏:電気の安定性が同じなら、手間がなくてコストが安いというのがユーザーにとって嬉しいこと。例えば、設備の運用保守も面倒みてあげるようなやり方が効果があると思います。複写機メーカーのビジネス展開は参考になります。昔はプリンターを売るのが仕事でしたが、その後はカウンター売りになりました。そして、今ではドキュメント周り、もしくはオフィス周り全体のソリューションを提供するようになっています。

「新電力は短期間での成長が見込める魅力的な事業」と講師陣は口をそろえる
「新電力は短期間での成長が見込める魅力的な事業」と講師陣は口をそろえる
左から久保氏、柏崎氏、村谷氏(写真:的野弘路)

柏崎氏:東電も特別高圧の需要家には、ESCOや省エネのコンサルティングを提供していますよね。省エネや運用保守は新電力にとっても、ビジネスチャンスになると思います。

村谷氏:需要家に最小限のピークカットをしてもらえば、調達改善ができます。新電力事業の収益改善をしたいなら、「調達改善メニュー」を作ったらどうですか、と提案していますが、誰もやってくれません(苦笑)。理由の大半が、社内に省エネ手法を理解させるのが難しいから。やりたいけれど、勉強はしたくない。しかも、自分の顧客の電気の使い方すら見ていない。これこそ、大手電力ができないことのはずなんですが。

柏崎氏:これは新電力の経営者として、すごく悩んだところです。教育の過程なしに営業担当者に「やってこい」と言っても、やれっこない。電気のノウハウがまったくないわけだから。だからこそ、シンプルな商品にして、「まずは1年間、このメニューを売ってこい」とい言いました。その間に少しずつ電気のことが分かってきますから。

新電力事業は決して難しくない

柏崎氏:新電力事業は、そんなに難しいものではないと思っています。日経エネルギーNext経営塾では、ド素人集団だった新電力で売上高を1年で2倍、3倍にできるセオリーをしっかり学んでほしいですね。従業員の教育も含めて、経営現場でぶつかる課題についても、共有したいと思っています

「新電力は短期間での成長が見込める魅力的な事業」と講師陣は口をそろえる
「新電力は短期間での成長が見込める魅力的な事業」と講師陣は口をそろえる
左から久保氏、柏崎氏、村谷氏(写真:的野弘路)

村谷氏:電力市場も、1円単位で価格を予測するのは難しいですが、ざっくりとなら予測できます。例えば、JEPXは大手電力などの余剰電気ですよね。もっとも量が多いのは東電の電気。東電の電気の多くはLNG(液化天然ガス)火力発電所で発電しています。つまり、LNG価格の変化を見れば、電力価格も見えてくる。冷静に考えれば、分かるはずなんです。

 ただ、本には書いてありません。新電力事業を運営する中で、伝言ゲームで学ぶものだからです。今回の日経エネルギーNext経営塾では、電力価格を予想するための情報は何か、どうやって情報を入手するのか、どうやって読みこなせば良いのかを徹底的にレクチャーしたいと思います。

柏崎氏:新電力事業は、ちゃんとやれば利益も上がるし、今後も様々な可能性を秘めた魅力的なビジネスです。だからこそ、基本的な知識を早期に身に着けてもらいたいですね。

久保氏:新規参入組にも、勉強すれば身につく知識を早く身につけてもらって、業界全体の底上げに繋がることを願っています。

村谷氏:新電力同士の横のつながりも、もっとあって良いと思っています。そういう点でも、同じような課題に直面した新電力が、共に学び、切磋琢磨する場があるというのは良いことですよね。

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