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 燃料制約とは先の燃料が不足することを懸念して、市場に供出するための発電をしないことをいう。猛暑で需要が当初予想を超える見込みになり、複数の大手電力が燃料不足を懸念する状態にあった。

 監視委員会は10月23日の有識者会議(第34回制度設計専門会合)で、燃料制約の監視方針を公表したばかりだ(「本当に『燃料制約』は起きていたのか」参照)。

 木尾室長の説明を要約するとこうだ。新電力幹部が質問の中で指摘したように、仮にでんき予報で10%の供給余力があったとしても、うち7%程度は送配電部門(一般送配電事業者)が最終的な需給調整を行うための調整力が含まれており、この部分は今のルールでは市場に出てこない。残り3%が市場への供出が見込まれる余剰電力となり得るが、実際には燃料制約などを理由に発電しないケースがあるというのだ。

 「今夏、価格が高騰する時間帯で、燃料制約を行っている大手電力が複数見受けられた。複数社が価格の上昇しやすい時間帯に燃料制約を実施して、売り入札をしなかったことが価格高騰に大きく影響した可能性がある」(木尾室長)。

 「しかし、高値で売れる時間帯に燃料制約をすること自体、よほど特別な理由がなければ、おかしな話。燃料制約を行うなら夜間など価格が安い時間帯が合理的なはず。燃料部門と市場取引部門の連携がとれていないケースなどがあった」(同上)。

 この夏まで、燃料制約の実施は大手電力に委ねられてきた。だが、そこには合理的でない判断や行動が潜んでいて、卸電力市場の価格に無視できない影響を及ぼしていたことが分かってきた。

 もっとも大きな問題は、いくつかの大手電力で、「自社需要しか念頭にないかのような燃料調達をしていて、不合理な燃料制約につながっていた」(木尾室長)ことだろう。

発販一体がもたらす懸念

 2020年に大手電力から送配電部門が法的分離された後も、小売部門と発電部門は垂直統合されたまま残る。競争研の報告書は、この構造が競争上の歪みをもたらしかねないことに大きな懸念を示している。

 自由化した市場は本来、小売市場と卸市場の両方が競争的でなければならない。大手電力の場合も小売部門と発電部門のそれぞれが最大利益を目指すのがあるべき姿だ。発電部門は自社の小売部門に供給するだけでなく、相対取引を含めて余剰電源を卸市場に最大限売ることが利益最大化につながる。自社の小売部門の需要に合わせた電源運用は、総括原価方式で建てた電源の最大有効活用の観点からも望ましいものではない。

 日経エネルギーNextビジネス会議は、電力市場の公正な競争のあり方について引き続き議論を重ねていく。