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 提携を検討する事業者にとっては、「顧客情報管理」も悩みどころかもしれない。

 アライアンスでは、提携事業者はワンタッチ供給で卸供給を受けることが基本になる。提携事業者は事実上、託送手続きを委託することになり、アライアンスには提携先の顧客のガス使用量などの情報が集まる。提携事業者はアライアンスから受け取ったデータを元に顧客のガス料金を計算し、請求書を発行する。

 アライアンスは顧客情報管理システム(CIS)も提供する。このCISは、ニチガスが開発した「雲の宇宙船」と呼ばれるシステムで、同社のLPG事業において顧客情報や保安データ、LPGの流通データなどを一元管理している。ニチガスの販管費を合理化し、同社のLPGの価格競争力のベースとも言われる仕組みだ。これをクラウドシステムで提供する。

カギを握るライバル同士の信頼関係

 提携事業者は都市ガス事業において、電気事業などの既存事業で構築した自社CISを使うか、「雲の宇宙船」を利用するかを選択することになる。託送情報を元にアライアンス側で顧客ごとにガス料金まで計算することも可能だ。既存事業でCISを外部に委託している事業者などには便利なサービスと言える。

 ただ、自社のCISを使う場合も、ニチガスが代行する保安業務に関する顧客情報はいったん「雲の宇宙船」に取り込まれる。「そこから提携先のCISに保安業務情報を渡すことは可能」(吉田社長)だが、手間やコストを考えれば全面的にアライアンス側のCISを利用する方が合理的なケースもありそうだ。

 東京エナジーアライアンスと提携する以上、ワンタッチ供給や保安業務を通して顧客情報の一部はアライアンス側に渡る。一方で、顧客情報の管理責任は一義的には提携先であるガス小売事業者にある。そこで問われるのが、顧客情報管理のあり方だ。

 他の事業で東電EPやニチガスと競合関係にある事業者であれば、東京エナジーアライアンスに顧客情報を委ねること自体を躊躇する場合もあるだろう。例えば、ニチガスと激しく競合するLP事業者などからは、「ニチガスのシステムに顧客情報を渡すことはあり得ない」(LP事業者幹部)といった声が聞かれる。

 いずれにせよ、アライアンスとの提携では、情報管理のあり方や顧客情報の漏洩があった際の責任など、契約や運営面で双方が納得できることが大きな条件となりそうだ。

 関東エリアで都市ガスに参入した東電EPとニチガスが、第三者の参入支援に乗り出すのは、ライバルとなる東ガスへの攻勢を強めるのが狙いだ。参入可能なプレーヤーが限られるという見方が根強かった都市ガス市場を活性化する上で、東京エナジーアライアンスの存在意義は大きい。

 一方で新電力が提携するケースなどでは、電気でライバルの東電EPの力を借りることになる。この微妙な間合いを、安定した関係にまで発展させられるかどうかが鍵だ。最後は信頼関係をどう築けるかが、提携の広がりを左右すると言えそうだ。