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――取引量が増えた一方で、市場価格についてはどう見ているか。今冬は昨年11月から2月にかけて西日本が高騰し、1月以降は東日本でも跳ね上がった。

八田 今冬、高値が多かったのは、根本的には天候の問題が大きかったと見ている。何十年ぶりという寒気が電力需要を押し上げた。

 3月以降は東西ともに価格は落ち着いている。気温が低い日に電力価格が上昇したのは、ある意味、市場の価格機能が機能した結果と見ることもできる。

インバランス料金が需給実態を反映していない

――多くの新電力が大きな打撃を被った。

八田 今冬の価格高騰の原因は何かと聞かれたら天候だというのが答えだが、ベースとしてこれでいいのか、天候が原因だとしても、もっと価格水準は抑えられたのではないかと聞かれれば、それはその通りだと思う。私も今の市場が完璧だとは考えていないし、価格形成に問題がないとは思わない。むしろ、課題は山ほどあるという認識だ。

 大きなものとして2つ挙げられるのではないか。

 1つは、インバランス料金が実需給断面の電気の価値を反映していないことだ。卸電力市場の価格は、インバランス料金との裁定で決まる性格を持つ。その意味で、インバランス料金が需給実態を反映したものであることが本来の姿だ。

 具体的には、最終的な需給調整を行う調整力の限界費用が反映されるべき。だが、現行のインバランス料金精算制度は過渡的に設計されたもので、本来の形になっていない。

 インバランス料金に実需給断面の電気の価値がきちんと反映されるようになれば、電力が本当に不足しているときにはインバランス料金が切り上がり、市場価格も高騰するが、全体ではもっと落ち着いた価格形成になるのではないか。

 そうした仕組みは、市場機能を使って調整力の価格を決める需給調整市場の創設を待ってつくることになっている。その意味で、2020年に立ち上げる需給調整市場は非常に重要だ。そして、需給調整市場の価格を反映させたインバランス料金精算制度をどう設計するかだ。小売電気事業者や発電事業者が最終段階の調整を行う時間前市場の活性化も絡んでくる。

 これらの制度設計は、資源エネルギー庁や電力広域的運営推進機関と連携して取り組むことになる。大事なテーマだと認識している。