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――低圧向けに電力小売りを手がける東電EPとのカニバリはありませんか。主に域外の大口向けを手がける子会社、テプコ・カスタマー・サービス(TCS、東京都千代田区)もあります。

 もちろんカニバリはありますよ。それで良いと思っています。

 TRENDEは、あくまでP2Pの電力取引をやるための会社です。東電EPともTCSともストーリーが違います。ストーリーが違うなら、子会社や関連部署がいくつあっても良い。東電EPとリクシルの共同出資会社、LIXIL TEPCO スマートパートナーズなどもあります。ベンチャーの役割は社会実験をするのが目的ですから、それはそれで良いのです。

――P2Pの電力取引を、どのように実現していくのですか。

 フェーズ1は電力を売り始めること。まさに今、「あしたでんき」を始めた理由です。電気を買ってくれる顧客を集めることから始めます。

 あしたでんきの料金メニューは、とにかく分かりやすくて、それなりに安価な設定にしました。広報宣伝にお金をかけるつもりがないので、安くすることで自然流入を期待している面もあります。

 フェーズ2は、電気の需要家に太陽光発電設備や蓄電池を導入し、デマンドレスポンス(DR)を展開します。DRの制御を当社側で手がけたいので、太陽光や蓄電池の資産は当社が保有する「第三者保有モデル」が有力です。需要家には、あくまで電力小売りのサービスを提供します。

 需要家の自宅をバーチャルパワープラント(VPP)にできたら、いよいよフェーズ3のP2P取引をスタートさせます。太陽光発電や蓄電池を制御して電力取引を展開し、気づいたらお客様の電気料金が安くなっている。そんなイメージです。

 先ほど東電EPとのカニバリは気にしないと言いました。それは当社にとって、電気を売る事自体は“挨拶”みたいなものだから。フェーズ3のP2P電力取引をやるための入り口でしかないのです。

 この4月からフェーズ1がスタートしました。2018年度中にフェーズ2に進展するメドが立ちつつあります。びっくりする内容になると思います。期待していただきたいです。

 フェーズ2は需要家が2000軒もあれば、ビジネスを始められると試算しています。ですから、電気料金を無理に大幅に安くして、早期に大量の顧客を獲得する必要はありません。

――多くの新電力の主戦場は高圧以上。あしたでんきが、低圧のみをターゲットにしているのはなぜですか。

 ロングテールのビジネスをやれる低圧こそ、しっかりやるべきだと思うんです。フィンテック業界もみんなロングテールを狙っています。消費者向けならデータを多く集めることができ、収益源になるとみているためです。電力小売りも構造は同じだと考えています。

 ロングテールを得意としないメガバンクは「海外投資などワンショットで大きな収益を上げる」と言っています。ただ、そのビジネスモデルがサステナブルだとは思いません。

 電力で言えば、高圧は1年契約がほとんどです。今後は、再エネを自ら導入し、「RE100」の達成に使おうと考える企業も増えてきそうです。人口減少や生産拠点の海外移転のトレンドを考えれば、地方の特別高圧や高圧は徐々に減っていくでしょう。低圧の重要性はおのずと高まっていきます。

 東電グループ内にも、低圧の離脱への危機感は強くあります。だからこそ、TRENDEで新たなビジネスに挑戦することにしたのです。

 現在、TRENDEの従業員は10人ほどで事業開発部隊とエンジニアだけ。新事業はテックドリブンで進める方が良いと思っています。電力ベンチャーは今後、テックベンチャーになるはずですから。