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事件その1 驚きの予備力二重確保

 予備力二重確保は、東京電力が2016年4月、東電EP(小売電気事業者)、東京電力パワーグリッド(PG、一般送配電事業者)、東京電力フュエル&パワー(FP、発電事業者)の3部門を分社した際、それまで東京電力全体で確保していた予備力相当量を、東電EPと東電PGの2社がそれぞれほぼ同じ量ずつ確保していた問題だ(監視委員会は社名を公表していないが、日経エネルギーNextの取材により明らかとなった)。

 合わせると分社前の約2倍の電源が予備力として待機することになったため、市場に投入される電力が激減し、とりわけ東日本で電力市場価格の高騰を招く大きな要因になったと見られる。市場から電力を調達する新電力などに甚大な影響を及ぼした。

 予備力として待機させる電源の量については、議論に基づいてルール化してきた経緯がある。分社したからといって事前に何の説明もなく、エリアの予備力がいきなり2倍になるのは恣意的な運用にすぎると言えよう。

 この問題は、昨年12月の政府審議会(第14回制度設計専門会合)でも取り上げられた。この時点で監視委員会は東電グループから「可能な限り(改善を)前倒しすべく取り組んでいる」との報告を受けたことを明らかにした。

 だが、監視委員会はこれに対して「早期の改善が望まれる」というコメントを出すにとどまった。結局、その後も二重確保問題は続いた。筆者が関係者から「東電は3月に二重確保をやめた」と聞いたのは、この4月に入ってからだ。

事件その2 半年続いた相場操縦で業務改善勧告

 東電グループの市場への姿勢が問われたのはこの問題にとどまらなかった。

 昨年11月には、監視委員会が東電EPに対して業務改善勧告を発するという2つ目の“事件”が発生した。大手電力にはスポット市場において、電力の余剰が発生したら「限界費用」(燃料費など可変費相当)で売り入札するルールを課されている。ところが、東電EPが限界費用から大きく乖離した高値で売り入札を続けていたことも発覚したのである。

 監視委員会はこれを相場操縦に当たると認定した。平日昼間の6割で相場がつり上げられたとしている。東電EPは「相場操縦の意図はなかった」としているものの、「勧告には適切に対応する」とのコメントを出した。

 電力市場が本来の自由競争下にある場合、損を出さないギリギリの原価である限界費用での投入が、落札量を増やし、原理的に売り手の利益を最大化するとされる。売り手にとっては限界費用と約定価格の差分が利益になる。限界費用を超える高値入札は、自分の利益(落札量)を減らしてでも買い手に打撃(価格上昇)を与える行為と監視委員会は見なした。

 事実、監視委員会の勧告を受け入れて、東電EPが限界費用での売り入札に改められたと見られる10月以降、市場における売り入札量が改善(増加)した。裏を返せば、少なくとも小売り全面自由化の2016年4月以降、電力市場では東電EPの相場操縦によるゆがみが半年間続いていたことになる。