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【質問4】FIT認定を申請中のバイオマス発電案件は、現行のFIT関連法令の枠組みのもとでFIT認定を受けることができるのでしょうか?

【回答4】個別案件の認定可否を予測するのは難しいのですが、根本的な判断基準は「熟度が高い再エネ発電事業計画だけが買取価格を確定できる」というものです。ここでいう「熟度」とは発電事業の実行可能性を意味します。

 FIT認定の要件として、「接続申込書面の受領時」が「接続契約の締結」に変更されたのがその良い例です。同じ考え方に基づく変更は最近も行われています。

 8月31日に公布・即日施行された改正FIT法施行規則の主旨として、太陽光の事後的過積載の抑制に注目が集まりましたが、調達価格の変更を伴う再生可能エネルギー発電事業計画の軽微でない変更事由として、送配電事業者との「接続契約の主要な事項の変更」が追加されています。

 何が「接続契約の主要な事項の変更」に該当するのかについての解釈・運用は、資源エネルギー庁のWebサイト「なっとく!再生可能エネルギー」に掲載されている「平成29年8月31日公布・施行のFIT法施行規則・告示改正のポイント」および「変更内容ごとの変更手続の整理表」に詳細に説明されています。

 いずれも、根底にあるのは、「熟度が高い再エネ発電事業計画だけが買取価格を確定できる」との考え方です。裏を返せば、「接続契約の再締結は、その再エネ発電事業計画の熟度の低さを象徴する事由であり、買取価格を確定するには相応しくない」というのが、改正FIT法施行規則の趣旨なのです。

 根本的な制度の考え方を理解しておけば、制度変更の方向性はある程度の予測がつくものです。政策変更が不意打ちとなることを防ぐ上でも、制度の趣旨をきちんと理解していきましょう。

【質問5】そもそも、再エネ電気は、限界費用(燃料費などの追加コスト)がゼロであることから、FITによる政策的支援を受けているのではないのですか。燃料費が必要なバイオマス発電は、なぜ再エネ電気なのですか?

【回答5】太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの再エネに共通する特徴を、FIT法は、非化石エネルギー源であって「電気のエネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」(FIT法2条4項6号)と捉えています。

 電気事業の根源的な政策目標である3E(安定供給・経済効率性・環境適合)の観点に立ち返って考えみると、再エネの「電気のエネルギー源としての永続的利用可能性」という特徴は、安定供給と最も関係するものです。

 長期エネルギー需給見通し(2015年7月公表)の中で、バイオマスは地熱・水力とともに、自然条件によらず安定的な運用が可能な再エネとして、ベースロード電源である「原子力の代替となる再エネ」位置付けられています。

 長期エネルギー需給見通しにおける再エネの導入量は、再エネの最大限導入とFIT賦課金という国民負担の抑制が両立する範囲内で、まずは地熱・水力・バイオマスを物理的限界まで導入することで原子力を代替するとしています。その後に、再エネを含めた全体の電力コストが9.5兆円に達するまで自然変動再エネ(太陽光・風力)を拡大することとされているのです。

 霞ヶ関のFIT政策立案者にとって、「バイオマスは原子力代替」と位置付られているのを認識しておくことは、今後の政策動向を予測するうえでも重要です。つまり、原子力の再稼働状況が、バイオマスの導入量を規定する側面があるということです。

* 本稿は執筆者の個人的見解であり、その所属する法律事務所又はクライアントの見解ではありません。

佐藤 長英(さとう・ながひで)
西村あさひ法律事務所・弁護士
電力・ガスプラクティスチーム。1995~96年日本輸出入銀行出向。2005~07年日本政策投資銀行嘱託。2008~13年国際協力銀行嘱託。取扱業務分野はプロジェクトファイナンス、PFI/PPP、電力・ガス。