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 ドイツ中西部のザールランド州NRW(North Rhine-Westphalia)地区で、発電プラント大手のシュテック(STEAG)が建設し、2016年末に稼働したリチウムイオン蓄電池プラント(90MW/140MWh)もPCR向けだ。同プロジェクトの設備投資額は1億ユーロにのぼったが、政府からの補助金は使わず、自己資金で賄ったという。ドイツでは民間ビジネスとして成立する可能性が見え始めている。

 ドイツでは、再エネの余剰電力で水素を製造して蓄えるP2G(パワー・ツー・ガス)プラントも調整力市場向けに建設が始まっている。

 ドイツのエネルギー事業者であるテューガ(Thuga)グループは、フランクフルトの地域電力会社であるミノファ(Minova)が調達するSCR向け調整力として300kWのP2Gプラントを2015年2月に稼働させた。

 同プラントは再エネが瞬時に増えて周波数が基準値よりも上振れした際、余剰電力を使って水電解装置が水素を製造する。同プロジェクトはP2Gが短周期変動対策に商業ベースで使えることを示した初めてのケースであり、今後、P2Gが調整力市場でも拡大していく可能性がある。

電力貯蔵も量産進むリチウムイオン蓄電池が優位

 系統の周波数変動には、数分単位で変動する短周期変動と、数時間単位で需要カーブが大きく変動する長周期変動の2つの問題がある。

 これまで、短周期変動は火力発電などの発電機、長周期変動には揚水発電などで対応してきた。しかし、火力も揚水も周波数調整のためのさらなる新設はハードルが高い。そのため、再エネで発電した電力を適宜貯蔵し、変動を吸収するストレージへの期待が世界で高まっている。

 このうち、放電時間や出力などの性能面から、短周期変動と長周期変動の両方に対応する形で広く使われ始めたのが、リチウムイオン、鉛、NAS、レドックスフローといった蓄電池システムである。

 リチウムイオン蓄電池と鉛蓄電池は、住宅向けなどの小型用途から再エネ併設、系統設置などの大型用途まで幅広く利用できる。

 リチウムイオン蓄電池はエネルギー密度が大きく、鉛蓄電池に比べて小型化できる利点がある。そのため、EVやPHEVの駆動用電源として主流の座を占めているが、電力用定置型でも住宅やC&I(商業・工業施設)向けなど、省スペースの要求が強い分野では独壇場の状況にある。系統向けについても、コンテナの数が減らせるなど施工面で様々な利点があり、リチウムイオン蓄電池の優位性は高い。

 日本ガイシが開発したNAS電池は、容量(kWh)単価で安価なことが評価されて主に長周期変動対策に使われている。住友電気工業が力を入れるレドックスフロー電池は大容量化しやすい利点を生かし、長周期・短周期変動の両面でプロジェクトが走っている。