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大規模展開だけが正解ではない

 RPAツールの導入には、大きく2つのアプローチがある。1つは、初めから幅広い業務を対象にソフトウエアロボットを展開し、数年がかりで業務量の大幅削減を狙う方法だ。

 例えば、2017年4月にRPAを活用した抜本的な業務改革に乗り出した三井住友銀行は、住宅ローンのチラシ作成といった営業店支援業務や、内部損失検証・計測をはじめとするコンプライアンス・リスク関連業務など、約200種類におよぶ業務をRPAツールによって自動化。これまでに40万時間に相当する業務量の削減を達成した。この取り組みをさらに推進して、3年以内に300万時間以上、約1500人分を超える業務量を削減する。

 このアプローチはRPAツールの導入によって大きな効果が見込める半面、業務の見直しと並行して基幹業務システムを刷新するときのように、導入の前工程に労力を要する。三井住友銀はまず既存の業務を可視化して、無駄な業務を廃止すると共に重複する業務を集約。そのうえで業務プロセスをRPAツールに適合するように見直して自動化を果たした。

 もう1つの導入方法は、前述した例のように一部の社員に負担がかかっている業務をRPAツールでまずは代行し、段階的に適用業務を増やしていくものだ。既存業務の洗い出しや業務プロセスの見直しを経ない分、短期間かつ安価にRPAツールを動かし始められる。

 Excelで作成した交通費精算のデータが正しいかどうかを、パソコンのWebブラウザを操作してインターネットの経路案内サービスで調べ確認するといった、パソコンで完結する作業はRPAツールが得意とするところ。こうした単純な事務処理を担うソフトウエアロボットであれば、RPAテクノロジーズが最短1日で用意して1カ月あたり10万円前後からという料金で提供している。

新電力はシステム改修なしにツールを活用

 さて、新電力である。つぎはぎ状態のシステムによる事務処理の非効率が目立ってきたからといって、億円オーダーの費用を投じたシステムの刷新や業務プロセスの見直しを伴うようなRPAツールの導入はあまり現実的ではない。

 反対に、CISや需給管理システムで処理できず人手に頼っている特定の業務について、RPAツールで自動化する余地は十分にある。RPAツールに詳しい日立コンサルティングの西岡千尋サービス&デジタルコンサルティング本部兼グローバルビジネス推進室シニアディレクターは、「大幅な改修を避けて既存システムをしばらく延命するというのも、RPAツールの1つの活用方法だ」と話す。

 RPAツールを適用できる業務としては、例えば、電気事業法の規定に基づき契約者に交付する重要事項説明や契約内容の案内などが考えられる。