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 小売電気事業者が出した余剰インバランスは一般送配電事業者が「インバランス料金」で買い取る。インバランス料金は通常は市場価格と同程度であることが多い。しかし全面自由化以降、電力市場はたびたびひっ迫し、水準以上の高値になる時間帯が増える傾向にある(「電力は余っているのに、なぜ市場価格は高い?」参照)。

 インバランス料金は前日に取引されるスポット市場価格を反映させて算出される。そのため、当日は電力が余ることで発生する余剰インバランスであっても、前日スポット価格に引きずられて相対的に高値で買い取られることが珍しくない。少なくとも、市場価格水準では買い取ってくれる。

 当日になって余剰インバランスが継続的に発生して、東電PGから東電EPへの支払いが発生し続けることも問題だが、相対的に高値で買い取られる分、利益を操作する余地が出やすい。こうしたオペレーションを通じて、東電EPが東電PGに支払っている電力量当たりの単価が下がっている可能性がある。

小売部門が卸電力市場をコントロールするのは問題

 東電EPはこれまで、卸電力市場への電力拠出には消極的な姿勢を繰り返してきた(「自由化1年目の電力市場、東電による2大事件」参照)。市場に拠出しないで、電源を必要以上にリザーブする「予備力二重計上問題」も昨年夏に指摘されて以降、未だに解消されていないという。

 こうした事態をつなぎ合わせると、前日スポット市場に対する電力供給量を絞って市場価格を高めに誘導する一方で、当日余剰インバランスを通じて東電EPの利益水準を高めるといった構図が浮かび上がる。

 仮に東電グループが予備力(不測の事態に備える電源)を本来のルールよりも多く抱え、市場に拠出する電力を減らし、過剰な予備力を使って余剰インバランスを大量に発生させているとしたらどうなるか。

 東電PGが買い取っている余剰インバランスの費用は、一般送配電事業者が負担しているコストとして計上されれば、最終的には託送料金として一般家庭を含む電気の利用者が負担する可能性が高い(電気料金には託送料金が含まれている)。これは、制度を巧みに利用して電力自由化の精神に立ち向かっているかのようにさえ見えてしまう。

 東電EPの大口需要家に対する安値攻勢が仮に構造的な問題を抱えているうえでの話しだとすれば、不利益を被っているのは東電管内のすべての需要家ということになる。一見、安価な電力価格を提供しているように見えるが、健全な競争の結果としての価格ではないため、かえってあるべき自由競争の結果としての適正な価格形成を阻害してはいないか。

 東電グループ内ではこれまで相対的に小売部門が強い力を発揮してきた。本来なら発電部門が仕切るのが自然であるはずの卸電力市場への売り投入さえ、小売部門の東電EPが仕切っていることが明らかになっている。「予備力二重計上問題」や、業務改善勧告の対象になったスポット市場への高値売り入札も、東電EPが関与してきた。

 小売電気事業者である東電EPが、競合相手である新電力の電力調達に影響を及ぼす前日スポット市場への電力供給量や当日需給の過不足をコントロールしている運営自体、あるべき電力自由化の姿に照らしてもっと議論があるべきではないか。

 東電グループのセグメント会計は、多くの問題を映し出している。