PR

前回はこちら

 今回のテーマは五感です。主に、視覚、聴覚、体性感覚(触覚)の3つに触れます。今のところ、ロボットには嗅覚と味覚センサーは一般的ではないですしね。それぞれの感覚の情報処理の経路や、処理の内容を解説します。中でも、研究がかなり進んでいる視覚については細かく説明していきます。

眼球から視覚野へ

 今回取り上げる感覚の中でも、特に視覚は非常に複雑なプロセスで処理されています。脳の大部分は視覚の処理をしており、ある種の猿では大脳皮質の7割と言われるほどです。

 最初に、光が目に入ってから視覚野までの経路を簡単に説明します(図1)。左右の目に入った光は、まず網膜の錐体細胞と桿体細胞を刺激します。錐体細胞は赤・青・緑の色にそれぞれ反応し、桿体細胞は光の明暗に反応して、電気信号に変換します。こうして得られた視覚刺激は、視神経を通って視交叉を通過します。

図1 視覚伝導路
図1 視覚伝導路
光が目に入ってから、大脳の視覚野に至るまでの経路を示しました。
[画像のクリックで拡大表示]

 なお、網膜の中にある視神経が通る部分には、錐体細胞・桿体細胞ともに存在せず、たとえ光が入ってきても電気信号には変換されません。網膜のこの部分は盲点と呼ばれます。盲点が発見されたのは1660年のこと。つまり、人類は何十万年もの間、「目には見えていない部分がある」ということに気づいていなかったんですね。