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「今回の改定は後退とも受け取れる」との声も

国際医療福祉大学三田病院の田村雄一氏は「オンライン診療には受診機会を増やし対象患者を増やす側面と、より密度の高い診療を提供しケアの質を高める側面がある。今回の改定は後者に軸足を置いたものと捉えることができる」と話す
国際医療福祉大学三田病院の田村雄一氏は「オンライン診療には受診機会を増やし対象患者を増やす側面と、より密度の高い診療を提供しケアの質を高める側面がある。今回の改定は後者に軸足を置いたものと捉えることができる」と話す
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 オンライン診療は既に診療所を中心に活用が始まっている。無診察治療などを禁じる医師法第20条とオンライン診療の関係について、従来よりも広い解釈を示す事務連絡を厚生労働省が2015年8月に出したことがきっかけになった。

 今回の診療報酬の新設に対しては、オンライン診療を早くから実践してきた医療者を中心に歓迎の声が上がっている。国際医療福祉大学三田病院肺高血圧症センター准教授の田村雄一氏は「報酬が担保されないままでは、オンライン診療の有用性を実感していても現場に普及させることは難しかった。金額(点数)の大小はさておき、オンライン診療が保険診療として償還されたことの意義は大きい」と話す。同院は2016年8月から、肺動脈性肺高血圧症などの指定難病の診療にオンライン診療を活用している。

 その一方で、予想以上に厳しい算定要件が設けられたことへの不満も聞こえてくる。診療報酬が新設され算定要件が明確に示されたことで、基本的には医療者が安心してオンライン診療を提供できるようになる。その半面、運用上の縛りが増えることになった(表1)。

 これまで、オンライン診療の対象患者や診察方法など具体的な運用については、医師法第20条などに抵触しない限り、現場の裁量に委ねられる部分が多かった。診療報酬の新設でその状況が変わったことで、現場の実態に即した使い方が制限されることを不安視する声が少なくない。関係者の懸念は大きく3つある。

 第1に、オンライン診療の有用な対象と考えられるにもかかわらず、算定対象にならない患者が存在する点。オンライン診療料を算定できるのは、特定疾患療養管理料や難病外来指導管理料、生活習慣病管理料など、10種類の管理料や指導料のいずれかを算定している患者。基本的には慢性疾患の長期管理が必要な患者が対象となる。

 結果として皮膚科や耳鼻科、眼科、精神科といった診療科で、定期的な通院が難しい勤労世代などの患者が対象から外れることになった。ビジネスパーソンなどを対象に、これらの診療科でオンライン診療が活用されている例は少なくない。「算定対象にならなかった疾患に限れば、今回の改定は後退とも受け取れる」(日本遠隔医療学会 遠隔診療モデル研究分科会長の加藤浩晃氏)との声があるのはそのためだ。