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 今回は第1回でテレビ、新聞の健康情報と新患受診数の関係を分析する際に使用したモデルの中味を紹介する。詳しい数式は割愛して、考え方とトピックスを整理してみた。

 このモデルでは、テレビや新聞の情報提供による貢献量とそれ以外の貢献量に分けて解析している(図1)。情報提供以外の貢献量を「ベースライン」と名付けている。べースラインは、健康診断結果の通知や暴飲暴食などで体調を崩すなど、情報取得と関係のない要因で受診した新患受診数を示す。

図1●行動人数(新患受診数)への情報提供による貢献量とベースライン
図1●行動人数(新患受診数)への情報提供による貢献量とベースライン

 このモデルを逆流性食道炎の新患受診数の推移に当てはめたところ、図2のようになる。グレーの部分がベースライン、ベースライン上の赤い部分が情報提供による貢献量の総量である。情報提供による貢献量は一見すると小さく見えるが、期間によっては最大20%を占める。

図2●逆流性食道炎の貢献量分析
図2●逆流性食道炎の貢献量分析

 逆流性食道炎は季節性のある疾患とは考えられないので、ベースラインはフラットと想定していた。しかし新患受診数の推移を見ると、どうやら年末に向けて季節性があるようだ。その原因としては、夏以降に人間ドッグ受診数が増加していく(通知結果を受け取る)こと、夏以降の酒量の増加による胃への負担増などが考えられる。健康診断の受診者数推移やアルコール摂取量などのデータを加えることで、その理由はさらに解明できる可能性がある。