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 今回、新患創出行動モデルを構造化できたことには一定の意義があると考えている。現段階は予算の都合もありプロトタイプにとどまっているが、これを深化させることによって、単に受診行動を予測するだけでなく、一般生活者側の様々なヘルスケア行動量が予測できるようになるからだ。効果的な情報提供の回路を合理的に設計できるようになることも期待できる。

 ヘルスケアまわりの研究活動の中では、一般生活者の行動誘発(創出)のための唯一の手段として、いわゆる「介入(特定の対象者に直接連絡を取る)」がよく議論されているように思える。もちろん「介入」も重要な手段だが、「介入」は対象を特定して初めて実施できるため、量的な意味で拡張の限界があると考えられる。

 潜在患者数が多い疾患になればなるほど、対象の特定作業は難しくなる。本研究はより広汎な対象に向けた情報提供(配信)を科学的なアルゴリズムに基づいて検証することで、より効果的な行動喚起が実現できることを期待した取り組みである。

 現在様々な形でヘルスデータが集積され、そのデータを活用した予兆因子、あるいは高リスク患者層の分析は進んでいる。しかし、具体的なアクションに貢献するソリューション(社会実装)にまでは至っていないのではないかと感じている。その意味で、コミュニケーションを専門とする当社の研究は貢献できるのではないかという観点で研究プロジェクトを立ち上げた。