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 疾病管理という視点に立てば、情報連携によって実現できることはまだまだ沢山あると思います。特に、慢性疾患のマネジメントやShared decision making(医師と患者が価値観を共有して治療方針などを決めること)では、情報連携が鍵を握ります。

慶応義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授の堀田聰子氏(写真:加藤康、以下同) 
慶応義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授の堀田聰子氏(写真:加藤康、以下同) 
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 その一方で、情報連携の議論が「病気になった後」に偏りすぎているとも感じています。医療や介護の目的は、一人ひとりの変わりゆく“Well-being”を最大の価値とし、それを守り育てることであるはずです。だとすれば、その人が元気だった頃の考え方や価値観がどういうものだったかを、本人がそれを許せば関係者が共有できる仕組みが必要ではないでしょうか。それがより良いQOL(quality of life)やQOD(quality of death)につながると私は考えています。

 情報連携のさまざまな関係者が、時期に応じて伴走者となり、キーパーソンとなる。年齢や病気などの条件に関わらず、その人の生活をトータルに支えていく。それを実現するためには、関係者がどのように役割を分担するかについてのアカウンタビリティー(説明責任)が重要です。

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 明確な目標を共有するチームがあり、その中での役割分担に関してアカウンタビリティーが保たれているのであれば、「この業務はこの専門職で」という役割分担を行政に委ねる必要はありません。そのチーム内で自動的に最適化されていくでしょう。どのようなアセスメントをし、介入をすることが大切で、その結果としてどのような成果が得られるのか。この一連の評価プロセスを標準化していく努力も大切だと思います。

 医療や介護をめぐり、さまざまな情報が私達の生活圏を行き交っている現状には「安心感」と「難しさ」の両面がある。ケアの対象となる人を中心に据えて、情報という観点からその人の権利をどのように守っていくかが問われます。誰のために、そして何のために情報を共有するのかという出発点に、いつでも立ち返る必要があるのではないでしょうか(談)。