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“診察室は医師のもの”を払拭

 「デザインを課題解決のツールにしたかった。働く人、来院する人が使いやすいことが、ユニバーサル外来のデザインコンセプト」。プロジェクトのディレクターを務めた董仙会本部常務理事の神野厚美氏は、こう話す。単に“形”だけでなく“コト(やり方)”を変革して病院の価値を再構築することを狙ったという。

 しかし、長年にわたり築いてきた“仕事のやり方”を覆すのは、一朝一夕にはいかない。特に、現場の医師や看護師、医事職員の意識改革に苦労したと神野常務理事は話す。

 歴史のある病院であればなおさら、診察室はそこを使う医師自身のオフィスと化していることが少なくない。多くの医学書や自分でまとめた資料、患者説明用のツールに囲まれ、診察に使う器具も自ら選んだものを持ち込んでいることもあるだろう。実際、棚卸しをしてみると、代々使ってきた医師の私物がそのまま残されていることも多々あったという。

各診察室の奥には共通のスタッフエリアが設けられ、4~5人の看護師が医師の要請で全診察室のサポートにあたる
各診察室の奥には共通のスタッフエリアが設けられ、4~5人の看護師が医師の要請で全診察室のサポートにあたる
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 「診察室は医師のものという概念を払拭し、みんなで使うものという意識に変えることに苦労した。一度診察室を医師から返していただき、新たな形で使ってもらうためには、今まで以上に便利にしないと納得してもらえない」(神野常務理事)。そこで神野常務理事が考えた一つの策が、医師それぞれに器具類をパック化して、常に新しいものを使いやすい状態で提供することだった。

 例えば、打腱器・打診器、血圧計、舌圧子など、こだわりを持って使用している診察器具を各医師用に「○○先生パック」としてバックヤードで用意して提供。「毎日、きれいに使いやすい状態で準備されていることで、この方が便利だと認識してもらえた」(神野常務理事)という。