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ロボット開発に追い風、課題は術者の教育体制

 今回はこうした事情を勘案し、一定の有用性が見込まれるケースでのダヴィンチ手術について、エビデンスは得られていない段階ながら保険を適用する形だ。もちろん「安全性については多くの報告があり、ある程度の水準を確保できる」(絹笠氏)ことを前提としている。1月17日の中医協総会では、ダヴィンチ手術のうち「分科会委員による評価において既存技術と同等程度の有効性・安全性があるとされたものについては、診療報酬改定で対応する優先度が高い技術とする」としている。

国内ベンチャーのリバーフィールドの内視鏡手術支援ロボット「EMARO」(2015年7月の発表会の様子)
国内ベンチャーのリバーフィールドの内視鏡手術支援ロボット「EMARO」(2015年7月の発表会の様子)
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 「ロボット支援手術は治療成績に貢献できる分野であり、多くの患者に提供できるようになることは非常に喜ばしい」と絹笠氏は話す。保険適用拡大により普及が後押しされることで、「ダヴィンチに続く手術支援ロボットの開発が一挙に進む」(絹笠氏)ことも予想される。実際、欧米では手術支援ロボットの開発を複数社が進めており、数年後の発売を計画中。日本でも保険適用拡大をきっかけに「開発企業がもっと増えてほしい。低価格で性能の良い国産の手術支援ロボットが実現し、日本の大きなウリとなることが望まれる」(同氏)。

 一方で絹笠氏は、手術支援ロボットを安易に導入する医療機関が増えることへの警鐘も鳴らした。現行の手術支援ロボットには、触覚が得られないことや、アーム同士が干渉する懸念があること、慣れないとうまく操作できないこと、などの課題がある。こうした状況で急速に普及が進むと、術者の指導(教育)体制が大きな問題になるという。

 直腸がんのダヴィンチ手術に関して、指導できる技量を持つ医師は絹笠氏をはじめごく少数。同氏はここ数年、直腸がんに対するダヴィンチ手術を開始した国内医療機関のほとんどをサポートしてきたという。こうした状況で、この4月から導入施設が一挙に増えるようなことがあれば、指導体制がパンクしかねない。指導の不足などにより「ロボット特有の事故が出てこないかなどを注意して見ていく必要がある」(絹笠氏)とし、学会などの主導によるクオリティコントロールの重要性を強調した。