凝固した血液をどう洗うか
ホギメディカルでは、2019年春にSUDを再製造できる環境を整えることを目指している。それに向けて、同社 美浦工場の一角にSUDを扱う専用空間を設置し、ラボ(研究室)のような雰囲気で検証を進めている。
使用済みSUDは、順天堂大学医学部附属病院など複数の医療機関の協力を得て回収し、検証に活用している。これまでの検証で、既に幾つかの課題が見えてきたという。
その一つが、回収した医療機器に付着している血液やたんぱく質、肉片などである。それらの汚れを「どのように洗浄したら良いか検討している」とホギメディカル 取締役で生産本部長 兼 研究開発部 管掌 管理監督者の佐々木勝雄氏は話す。その検討結果などを踏まえながら、単回医療機器再製造推進協議会としては2018年中に洗浄のプロセスバリデーション(品質が担保できる方法を文書化したもの)を作成したいとしている。
洗浄のプロセスバリデーションを作成するのは、SUDによって汚れ方が異なるためである。2018年2月に開催された単回医療機器再製造推進協議会の発足記者会見では、米国で再製造されている機器の一例として、腹腔鏡用血管シーリング装置や超音波診断用カテーテル、血圧用カフなどが紹介された。皮膚に触れるだけのものから体内に挿入するものまでさまざまな製品が存在するため、汚れ方に応じた洗浄基準を設ける必要があるのだ。
特に「凝固した血液を洗浄することが困難」だと佐々木氏は言う。人工血液や動物の血液を使って汚れがひどい状態を作り出し、ワーストケースを想定した検討も進めているという。