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熱傷の恐れなく「安心して手術できる」

 実は、コウプライトが登場する以前から、暗い術野を明るくするために、LEDを搭載したシートのようなものを金属製のこれまでの鈎に貼り付けるタイプや、鈎と光源をケーブルで接続して光を供給するタイプなどが使われてきた。

 しかし、金属製の鈎にLEDなどの光源を取り付ける従来品には幾つかの課題があった。そのため、コウプライトは開発に当たって3つの点を重視したという。それが、(1)金属以外の素材を使うこと、(2)先端を透明にすること、(3)コードレスにすること――だ。

 (1)の金属以外の素材を使う点について、そもそもこれまでの鈎は「金属で作られているため、通電性があり、電気メスなどに接触することで熱が伝わって皮膚に熱傷を来す恐れがあった」と清水氏は指摘する。そのため、シリコン製のプロテクターなどを皮膚に当てながら手術を行うケースも少なくない。「金属以外の素材でできた鈎へのニーズがあった」(清水氏)。

「術者が手元で電源を点けられるのが便利」と話す中頭病院の座波久光氏。
「術者が手元で電源を点けられるのが便利」と話す中頭病院の座波久光氏。

 そこでコウプライトは、先端鈎部に絶縁性のポリカーボネート樹脂を使用した。この結果、電気メスに接触しても熱傷を来す恐れがない鈎となった。実際に日常的にコウプライトを使っている中頭病院(沖縄県沖縄市)副院長兼乳腺科センター長の座波久光氏は「この鈎は安心して手術に使える」と話す。

 ポリカーボネート樹脂を使用したのは、高い強度を保つためでもある。強い力が加わっても「曲がるだけで、折れて破片が飛び散ることのないようにした」と安井開発部部長兼主任研究員の荒殿剛氏は話す。さらに強度を担保するため、先端鈎部に背骨のようなパーツを取り付けるリブ構造を採用することでしなりを低減させた(写真4)。

写真4 コウプライト先端鈎部の折り曲げ試験の様子。大きな力を加えても折れずに曲がるので、破片が飛び散らない。(提供:安井)
写真4 コウプライト先端鈎部の折り曲げ試験の様子。大きな力を加えても折れずに曲がるので、破片が飛び散らない。(提供:安井)
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 (2)の先端を透明にすることは、ポリカーボネート樹脂が透明なプラスチックであることで同時に実現した。金属の鈎では、鈎が触れている部分の組織は見えないため、鈎を移動させなければ観察することができなかった。コウプライトの先端は透明なため、鈎が触れている部分も確認しながら手術を行うことができる。