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コートジボワールやバングラディシュでの手術経験がきっかけ

「今後は、救急や災害の現場でもコウプライトを使ってもらいたい」と話す安井の荒殿剛氏
「今後は、救急や災害の現場でもコウプライトを使ってもらいたい」と話す安井の荒殿剛氏

 (3)のコードレス化についても、単4電池2本で2時間点灯できるLED照明を光源として搭載することでケーブルが不要となった。極力小さな傷で手術を行う乳腺外科においては、術野をしっかりと照らす光が必要だが、一方で手術の邪魔にならない「ライト付き鈎は欠かせない」(座波氏)。しかし、これまでの“光る鈎”はケーブルでつながっているために「取り回しが悪かった」と座波氏は指摘する。ケーブルの断線による故障も起きていたという。

 また、ケーブルでつながれた電源は滅菌できないため、電源の操作を行う際は外回りの看護師などにお願いしなくてはいけなかった。タイムラグが生じ、術者のストレスになることもあったという。一方コウプライトは、持ち手に電源ボタンを内蔵し、術者が手元で操作できるようにした。

 明るさに関しても、これまでのライト付き鈎と比べて遜色ない。照度は先端鈎部の形状によっても異なるが、6万~14万lx(ルクス)を実現。「手術には十分の明るさだった」(座波氏)。さらに、コードレス化は同時に軽量化にもつながった。金属の鈎が80~90gなのに対し、コウプライトは照明器や電池を合わせて約129gである。ケーブルでつなぐタイプの鈎を使っていた座波氏は、「コウプライトを使ってみたら、ケーブル付きの鈎が相当重かったことを実感した」と驚きを語るほどだ。

 コウプライトは、より多くの術者に使ってもらえるように普及価格帯での提供を優先した。光源に関しては、持ち手にLED照明を内蔵したことで従来の10分の1の値段を実現した。先端鈎部は、12本入りで定価3万4000円と1本当たり3000円未満で提供する。

 そもそも、清水氏がコウプライトのアイデアを発想したのは、清水氏がコートジボワール共和国やバングラディシュ人民共和国で手術を行った経験がきっかけだった。これらの地域では、インフラが十分でなく、手術中に停電してしまうことも珍しくない。そのため、工事用のヘッドライトを装着して手術することも少なくなかったという。こうした状況を目の当たりにし、どのような環境においても使用できる器具を開発したいと思うようになった。

 コウプライトは、乾電池さえあれば電源がなくとも術野を明るくすることができる。さらに、鈎としてだけではなく懐中電灯としても機能するので、「今後は救急や災害の現場にも広げていきたい」と荒殿氏は意気込んでいる。