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AIが異常を検知してアラートを出すシステムも

 (3)の人為的ミスの回避は、薬剤を投与する際に過誤が発生しないように、AIを使ってエラーを警告するシステムの開発を目指す。医師が誤った薬剤を処方した場合、AIが「この疾患にこの薬は使用しません」というアラートを出すようなシステムを想定している。

 さらに、診断ミスの防止にもAIを活用する。CTやMRIを使って全身をくまなく撮影しても、医師が異常を見落としてしまう場合もあるからだ。最近も、「肝臓に目をとられてしまい、腎臓の異変を見落とした例が報告された」と中村氏は指摘する。診断におけるこうした人為的ミスを防ぐためにも、怪しい所見を検知したら医師に伝えるアラートシステムを構築することを目指す。

 (4)の個別化医療に関しては、SIPのプロジェクトとしてすぐに取り組むわけではないが、中村氏がかねて研究してきたゲノム情報を使って個別化医療を実現することも視野に入れている。ゲノム情報をAIが分析し、一人ひとりの患者に合った治療法を提案することを目指す。「このゲノムを持っている患者にはこの薬が有効」「この薬は副作用が大きい」などを判定できるようにしたい考えだ。

 医療現場におけるAI活用は各国で研究開発が進められている。中村氏が以前拠点にしていた米国でも、画像診断や病理診断を中心にAIが活用されているが、「AIホスピタルのようなものはまだない」としている。今回のプロジェクトで確立した技術を国外に輸出することができれば、医療産業の国際競争力にもつながるというわけだ。医師の負担軽減に寄与し得るこの一大構想から、目が離せない。