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病院目線で使い勝手を改善

 開発当初は、ここまで使い勝手の良いシステムではなかった。当初は音声認識技術を手掛けるアドバンスト・メディアの既存のシステムを活用して、パソコンと外付けマイクの組み合わせで音声入力を実現しようとした。

 2017年6月に導入を果たしたが、音声入力はできるものの「なかなか普及しなかった」(リハビリテーション部の部長の篠原直樹氏)と振り返る。理学療法士などに聞いてみると「皆の前でマイクに話すのが恥ずかしい」「パソコンの数が限られていて使いにくい」という意見が多かった。

リハビリテーション部の部長の篠原氏(写真:日経 xTECH)
リハビリテーション部の部長の篠原氏(写真:日経 xTECH)
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 パソコンとマイクの組み合わせを半年ほど試したものの、いつまでも使ってもらえない状況が続いた。転機となったのは、サービス終了が近づくPHS(簡易型携帯電話)に代わって、スマホの「iPhone」を職員に支給することが決まったことだった。

 高機能のスマホであればパソコンのように音声入力端末として使えるのではないかと考え、2018年1月ごろにアドバンスト・メディアにシステム開発を依頼した。

左からリハビリテーション科の科長の山田氏(作業療法士)、同主任の村上氏(理学療法士)(写真:日経 xTECH)
左からリハビリテーション科の科長の山田氏(作業療法士)、同主任の村上氏(理学療法士)(写真:日経 xTECH)
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 ただし2018年春ごろに出来上がった最初の試作版では、スマホに音声で入力した内容がテキストに変換されてサーバに送られるだけで、入力者が自ら電子カルテにコピーする仕様だった。現場の声を聞きながら、実際の業務に合うように少しずつ改良していった。

 まずは理学療法士などの手間を減らすために、事務員が認識ミスを修正して電子カルテにコピーできる仕様に変更してもらった。事務員を新たに雇う費用はリハビリ時間の増加による増収分などで賄えるという。

 その他にも「穴埋めテンプレート機能」を提案した。実施時間や患者ID、実施内容などの必要な項目を作り、該当部分を埋めていく形式にした。こうすることで、電子カルテの作成に必要な内容の入力忘れを防げるようになった。

 次の項目に移る際に画面に触れて操作する手間を省けるように、項目の間に無言の部分を設ければ自動で次の項目に移動するようにした。認識率を高めるために、専門用語の辞書の充実も図った。こうして2018年6月ごろに現在のシステムが完成した。

テンプレート機能を追加した(写真:日経 xTECH)
テンプレート機能を追加した(写真:日経 xTECH)
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