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本記事は、電子情報通信学会発行の機関誌『電子情報通信学会誌』Vol.99 No.5に掲載されたものの抜粋です。全文を閲覧するには電子情報通信学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから。全文を閲覧するにはこちらから。『電子情報通信学会誌』の最新号はこちら。電子情報通信学会の検索システムはこちら

1. フレキシブルワイヤレスシステムの概要

 筆者らは、スパース性を利用する圧縮センシング技術をソフトウェア無線技術及びコグニティブ無線技術に応用し、異なる無線通信システムを単一の無線アクセスポイントで統合的に収容することが可能な無線通信システムであるフレキシブルワイヤレスシステムに取り組んできた。フレキシブルワイヤレスシステム(1-2)は、多種多様な無線方式を収容する共通のプラットホームである。図1にフレキシブルワイヤレスシステムの概念図を示す。本システムは、ホームネットワーク等に設置されるフレキシブルアクセスポイント、ネットワークを介してアクセスポイントと接続され無線信号を処理するフレキシブル信号処理部、これらを制御するエンジン群で構成され、各装置は光ファイバ等のアクセスネットワークで接続される。ここで、ネットワーク側ではアクセスポイントの制御のほか、端末のデータ収集・蓄積を行う。無線信号処理部がクラウド化されることで、ユーザが端末の無線方式を意識することなく、いつでも簡単にネットワークを利用できるユーザセントリックワイヤレスネットワークの実現を目指している。

図1 フレキシブルワイヤレスシステムの概念図
図1 フレキシブルワイヤレスシステムの概念図
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 また、従来の無線機は、アナログ高周波部、A-D変換部(A-D、D-A)、信号処理部を単一装置として構成するが、フレキシブルワイヤレスシステムは、フレキシブルアクセスポイントにアナログ高周波部とA-D変換部を配備し、ネットワーク上のフレキシブル信号処理部においてディジタル信号処理を行う。アナログ高周波部を広帯域化・マルチバンド化することで(3)、複数周波数帯の同時利用を実現し、利用する周波数帯にかかわらず、単一のアクセスポイントで多様な無線端末を収容可能とする。また、無線方式ごとに異なる処理が必要なディジタル信号処理部は、ネットワーク側のソフトウェアで処理し、ソフトウェアの入替えのみで多様な無線方式への対応や無線方式のバージョンアップへの追従を可能とする。このような構成とした場合、アクセスポイントとネットワークの間で伝送すべき電波データ量が膨大となるため、圧縮センシング技術を適用した電波データの圧縮伝送を行う。