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2.2 圧縮センシング技術を活用した信号検出技術

 本技術は、圧縮・復元処理負荷を軽減しつつ電波データの圧縮伝送の実現を目指す(5)。フレキシブルアクセスポイントは、受信した信号を一定の長さの区間に分けて各区間のパワースペクトルを平均し、圧縮センシングによる圧縮伝送を行う。ネットワーク側は、圧縮伝送された信号の復元処理を行い、信号が検出されるとフレキシブルアクセスポイントに検出の通知を行う。この通知を受けたフレキシブルアクセスポイントは、上記の平均処理を行わずに受信信号の圧縮伝送を行う。

 図3にソフトウェア無線技術を用いて実装した試作機の外観を示す。本システムは、異種システムの混在環境を想定し、異なる種類のRFID信号が共存する280MHz帯と2.4GHz帯における合計10MHz幅の信号を対象とし、圧縮センシングによる圧縮伝送を行う。A-D変換に16bitの量子化を用いた場合、電波波形の同相成分と直交成分をそれぞれサンプリングし、圧縮処理をしない電波データの伝送レート(単位時間当りのデータ量)は、640Mbit/sであるが、本技術により信号検出に必要な伝送レートを0.652Mbit/sに軽減でき、約1/1,000の圧縮率が得られた。

 一方、信号検出後に、復調に向けた信号の圧縮・復元処理には、全体の周波数帯域に対する検出信号の占有周波数帯域の比(スパーシチ)の4倍に相当する1/8の圧縮率により圧縮・復元処理を行った。その結果、圧縮を行わない従来方式とほぼ同等な復調性能が得られた。

図3 フレキシブルワイヤレスシステムの試作機の外観
図3 フレキシブルワイヤレスシステムの試作機の外観
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