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RFIDでおむつ交換をお知らせ

 近年、患者情報をワイヤレスでモニタリングする技術が注目を集めている。生体情報センサにワイヤレス機器を搭載することで、近くの受信機を介して、ワイヤレスで患者の生体情報を医師や看護師に送信するものである。これにより、患者周りの配線がなくなり、患者のストレスや身体拘束を抑制できる。また、診察回数の削減も可能となり、医療従事者の負担軽減につながる。更に、人体に装着した医療用センサを用いてバイタル情報を自宅等から病院に送る遠隔医療などへの応用が期待されている。

 これまでに、幾つかのワイヤレス生体センサが実用化されてきた。例えば、WINヒューマンレコーダ(24)は、装着型の心電・体動・体温を検知するデバイス、東芝は、Silmee®(25)という脈波・心電・体温・体動を検知するデバイス、NTTなどは、導電性繊維を用いたシャツで心拍・心電を計測するhitoe®(26)を開発している。また、昨年発売されたApple Watch®(27)も背面の緑色LEDで毛細血管を透かして心拍が測定できる。これらの多くは、Bluetoothの規格が用いられ、ワイヤレスで心電図や脈拍などの生体情報がモニタリングできる。しかしながら、これらのモニタリングには、生体情報の取得と送信のために、バッテリーが必要となる。そのため、バッテリーの充電・交換が必要となり、デバイスが固く大きくなるため装着時に違和感を覚えやすく、コストがかかるためディスポーザルな用途には使用しにくい。

 そこで、個人認証や物流管理などの分野で幅広く利用されているRFID技術を用いた医療モニタリングが注目されている。総務省が行っている「ユビキタス健康医療技術推進事業」(28)でも、医療の安全性向上や医療事業者の業務負担軽減のために、RFIDシステムの利用が検討されている。

 前述のようなRFIDの特長を生かした、紙おむつの交換時期モニタリング(29)、点滴の自己抜去モニタリング(30)などを報告する。これらは、人体近傍に配置するタグと、ベッドの底部に配置するリーダ間の通信可否のみで、モニタリングを行う。

 高齢化により、成人用紙おむつは年々需要が高まってきている。紙おむつでは、排尿の有無を確認するために、毎回、体の不自由な患者の衣服を脱がす必要がある。また、この紙おむつをチェックすることにより、睡眠中の患者が不要に起こされるという問題もある。そこで、紙おむつに埋め込んだタグ(図7)と、マットレスパッド底部のリーダとの通信の可否のみで、排尿を検知するシステムが提案されている(図8)。このシステムでは、リーダアンテナはマットレスパッド底部に配置するという特性上、マットレスパッドになじみ、リクライニングベッドでも用いることができるように導電性不織布で作製されている。また、円偏波を用いることで、患者の姿勢によりタグの向きが変化した際の影響を抑えることができる。紙おむつ内のタグは非常に薄くフレキシブルに出来ており、患者にストレスを与えることはない。また、電池の交換も必要なく、安価なため、使い捨てにでき衛生的である。タグアンテナは紙おむつが乾いた状態では、動作周波数では整合が取れて通信ができ、ぬれた状態では整合が取れずICが駆動しないので通信できないことから、アラームが鳴るようになっている。また、排尿を複数回吸収できるおむつは、一般的に、前部からぬれていき、吸収量の限界を超えると、背部から尿が漏れ出すという性質がある。そのため、タグを紙おむつの背部に埋め込むことで、紙おむつの尿吸収限界を判断することができる。

図7 RFID 付き紙おむつ
図7 RFID 付き紙おむつ
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図8 紙おむつ交換時期モニタリングシステム
図8 紙おむつ交換時期モニタリングシステム
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