医療界や行政、産業界などからさまざまなキーパーソンが参加した日経デジタルヘルス主催の座談会「働き方改革が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長 病院⻑補佐 教授の黒田知宏氏、特別協力:日本マイクロソフト)の第2回の様子を紹介する。
■座談会「働き方改革が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」<第1回>の様子はこちら
医療界や行政、産業界などからさまざまなキーパーソンが参加した日経デジタルヘルス主催の座談会「働き方改革が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長 病院⻑補佐 教授の黒田知宏氏、特別協力:日本マイクロソフト)の第2回の様子を紹介する。
■座談会「働き方改革が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」<第1回>の様子はこちら
小柳津 篤氏 日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター
遠山 仁啓氏 日本マイクロソフト 医療・製薬営業統括本部
働き方改革は今、盛んに議論されていますが、我々は20年以上前からこのテーマに取り組み、顧客企業にも提案してきました。その実践から学んだことについてお話できればと思います。
武井 貞治氏 厚生労働省 医政局医事課長
医療者の働き方改革について議論する際に、しばしば問題になるのが「応召義務」の存在です。医師は常時、急な患者に対応しなくてはならず、このことが長時間労働の大きな要因になっています。海外でも空港で誰かが倒れたりしたら、メディカルスタッフがすぐに駆けつける。救急医療を提供する体制は、基本的にどの国にもある…
赤星 昂己氏 東京女子医科大学東医療センター 救急医療科 救命救急センター 医師
若手の医師が緊張を強いられる場面の一つに、当直を一人で担当する夜があります。特に救急医療の現場では、経験の浅い若手が当直を担うのはなかなか大変なことです。
武藤 真祐氏 医療法人社団鉄祐会 理事長
私達の組織ではICTを活用しながら、より良い働き方を実践したいと考えています。これまでの取り組みから見えてきたのは、ICTで情報連携の負荷を大きく減らせることです。
三津原 庸介氏 日本調剤 専務取締役
働き方改革とそのための見える化は、強いリーダーシップのもとで行われなければ意味がないと考えています。リーダーの問題意識なしには、現場に“やらされ感”が充満するだけでしょう。
白石 吉彦氏 隠岐広域連合立 隠岐島前病院 院長
業務や働き方を可視化し、評価することが今回の座談会の話題の一つになっていますが、評価基準をどうするかは非常に難しい問題です。外来部門では患者数と診療単価、診療時間などで定量的な評価ができる側面があります。しかし、非常に慎重で人の数倍の診療時間をかける医師もいれば、愛想がよくて患者満足度が高いものの、…
岡本 利久氏 内閣官房 健康・医療戦略室 参事官
医療現場においても、センサーなどを駆使してさまざまなデータを収集し、患者の状態、あるいは医療従事者の業務や人の動きなどを可視化することは可能になりつつあります。重要なのは、収集したデータで何を実現するかだと思います。
永井 康徳氏 医療法人ゆうの森 理事長
業務を可視化する上では、「生産性」や「作業効率」などがひとつの指標(ベンチマーク)となります。医療業界においては「患者満足度」もそのひとつになるでしょうし、我々としてもそれらの調査は実施しています。
戎 初代氏 東京ベイ・浦安市川医療センター 集中ケア 認定看護師
「ペーパーレス化」の議論についてですが、紙と印鑑の文化は何とかしてほしいと常々思っています。これは、医療業界に限らず日常生活においてもそうです。海外ではそもそも印鑑自体がほぼ存在せずサインで済ませていますし、最近では国が決めた番号を活用しているケースもあります。
渋谷 闘志彦氏 総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室長
生産性の向上やペーパーレス、可視化、教育などに対して、多くの部分にICTは活用できると感じます。その一つとして、総務省ではテレワークの推進を掲げていますが、テレワークは医療分野に貢献できる点も多分にあると思います。
山内 英子氏 聖路加国際病院 副院長 ブレストセンター長・乳腺外科部長
ペーパーレス化に関しては、例えば、電子カルテをクラウド上で複数の医療機関の間で共有することができれば、診療情報提供書(紹介状)は不要になります。そればかりか、患者を紹介された医師が必要な情報をすぐに閲覧できるようになり、業務の効率化も図れます。
西川和見氏 経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長
医療現場の働き方を考える際、産業界と異なる点があるとすれば、患者を相手にするということです。患者の満足度(気持ち)という観点が存在します。
中島由美子氏 医療法人恒貴会 訪問看護ステーション 愛美園 所長
訪問看護の現場では、ペーパーレス化はまだまだです。いまだにFAXでのやり取りが主流だったりします。訪問看護師の平均年齢が50歳を超えていることも、その一因かもしれません。
第2回を開催、「ペーパーレス化」の可能性についても議論
日経デジタルヘルスは2018年5月31日、医療界や行政、産業界など、さまざまなキーパーソンが参加する座談会「働き方改革が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長 病院長補佐 教授の黒田知宏氏、特別協力:日本マイクロソフト、全3回)の第2回を東京都…