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介護に横たわる“ねじれ”を修正していくべき

 そもそも福祉業界は、儲け主義で成立する世界ではありません。とはいえ、働く人たちがある程度価値を見出して働ける業界にならなくては、今のように担い手がどんどんいなくなってしまいます。

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 業界全体がブラックな事業所ばかりではありません。きちんと運営していて、職員の定着率が安定した法人も存在します。どうしてもブラックな事例ばかりが報じられ、良質な事例はほとんど共有されないのです。

 こうしたねじれは、介護保険の制度にも見られます。要介護度に応じた報酬ですから、要介護者を健康にすればするほど事業所側には入ってくるお金が少なくなります。介護される側も、要介護度が下がることで使えるサービスの幅が狭まるため「損した」という感情が出てきます。今後は、そのねじれを修正していかなくてはならないでしょう。

 ITに関して言えば、携帯電話ひとつとっても入所者が急変したときに呼び出されたり、施設からいなくなった人たちを見つける際にやり取りしたりできるわけで、非常に便利なものだと思います。

 他方、それが質の高さにつながるとするのだとすれば、誰かが身を削って体を空けておかなくてはならず、結果的に電話を持つこと自体が負担になる場合すらあります。私も施設の相談員時代、夜中2時間おきに計3回、施設から呼び出されたことがありました。

 すなわちITリテラシー、使う側の倫理観が大事になってきます。皆が効率的に使いこなせればいいのですが、温度を感じない、血が通わないやり取りでは疲弊してしまいます。“便利になって良かったね”だけではなく、技術を上手く活用しながら、患者と医療・介護に従事している人たちにとって、どうすれば良い方向に活用されていくのかを考えていくべきなのです(談)。