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地域包括ケアのプラットフォームに

 日本IBMは今回の取り組みに、どのような視点で加わるのか。同社はかねて、各領域に強みを持つパートナー企業と組み、社会問題の解決に取り組むことをミッションに掲げてきた。医療や介護、健康管理への取り組みはその1つ。今回の協業では「うつ病や認知症などの精神疾患が深刻化し、社会問題となっている」(日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 ヘルスケア&ライフサイエンス事業部 パートナー 事業部長の金子達哉氏)ことに着目した。

 大塚製薬と議論を重ねる中で、この問題の「解決のカギは電子カルテデータにあるとの結論に達した」(金子氏)。IBM社はもともと電子カルテの大手ベンダー。精神科の電子カルテに含まれるデータは「90%以上がテキストデータ」(同氏)で、ここにWatsonの能力を生かせると考えた。

 Watsonは自然言語処理、学習、根拠の提示などの能力を備えたコグニティブコンピューティングシステム。医療分野では既に、米国を中心にがんの診断支援や治験の患者マッチングなどへの応用が始まっている。

 今回、日本IBM、大塚製薬とともにMENTATを開発した桶狭間病院 藤田こころケアセンターには、2000万件以上の電子カルテデータが蓄積されているという。この膨大なデータから、入院長期化や再発に影響を及ぼす因子をWatsonで抽出し、データベース化した。

入院長期化・再発の因子を抽出
入院長期化・再発の因子を抽出
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 MENTATは医療機関向けのソリューションだが、ゆくゆくは「地域包括ケアのプラットフォームづくりも視野に入れた取り組みを進めたい」と日本IBMの金子氏は話す。病院から地域へ、という医療提供の場のシフトに沿ったソリューション開発に力を入れていく。

 さらにWatsonは「画像分析や音の解析にも対応できる」(金子氏)。今後は画像分析や音の解析を取り入れたソリューションを開発し、幅広い疾患領域に展開する狙いだ。