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 戦後の高度経済成長期を支えた「ものづくり信仰」と、バブル崩壊後の失われた20年が、日本の値付けの“常識”を生んだ。

 「良いものを、より安く」を金科玉条に「値下げ競争」にまい進してきた結果、デフレ経済に突入した日本では、多くの企業が低収益に頭を悩ませている。しかもモノがあふれる時代には「消費者は、単に『安い』というだけでは見向きもしなくなった」(田中公認会計士事務所 所長の田中靖浩氏)*1

*1 田中氏の論考は「品質一本勝負はもう終わり」を参照

 その裏で、日本の安くて品質の良い製品に打ち負かされた欧米先進国の企業は、いち早く自らの値付けを見直し、「良いものを、より高く」売る努力を続けている。

 いよいよ日本も価格戦略を大きく変えなければならないときが来た。中でも改めるべきは、ポリシーなき原価ベースの値付けだろう。これはまさに、高度経済成長期の“亡霊”である。

 機能の高さや性能を追い求めているにもかかわらず、なぜか周囲を気にしながら安易に安売りする。本当に高い性能や機能に自信があるならば、それに合った値付けを模索すべきなのに。

 競合各社よりも2~3割高く売れるという安田工業の工作機械*2や、スタックスの30万円以上する高級ヘッドホン*3のように、性能を追求した結果の価値を買い手に認めてもらうことで、競合製品に比べて高価でも十分に売れる。むしろ、その品質の高さから割安とさえ感じるようになる。そしてそれが購入する人にとっての「憧れ」になり、企業や製品のブランドにつながっていく。

*2 安田工業の工作機械については「3割高くても売れる工作機械は、いかにして生まれたか」を参照。
*3 スタックスの高級ヘッドホンについては「辛口マニアの心つかむ超高級ヘッドホン、業界不文律を脱却」を参照。