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「日経ものづくり」2014年10月号の事故は語る「けん引中のディーゼル機関車から発火、曖昧な作業手順と確認の甘さで変速機が過熱」を分割して再公開した記事の前編です。

2013年2月4日の夜、東日本旅客鉄道(JR東日本)上越線を走行していた2両編成の列車の運転士は、後ろに引かれるような衝撃を感じた。計器に異常はなかった。しかし、振り返って後方を確認すると、2両目のディーゼル機関車から火の手が上がっていたのだ。非常停止して消火活動を行ったため、じきに鎮火したものの、変速機などが焼損した。

 なぜ、けん引されているだけの列車から出火したのか。2014年8月29日に公開された運輸安全委員会による事故調査報告書を基に事故原因をみてみよう1)

 事故を起こしたディーゼル機関車は、事故当日、改修工事のために電気機関車にけん引されて19時40分に高崎駅を出発。新津駅へと向かっていた。

 実は、発火の前にも異常はあった。敷島駅を通過した直後に、やはり後方に引かれるような衝撃を感じた運転士は、力行を解除(ノッチオフ)して計器を確認した。しかし、異常は認められず引っ張られるような感じもなくなったため運転を続けた。

 発火を確認したのは津久田駅を過ぎて第二利根川陸橋を渡り終わった20時12分ごろ。速度60km/hほどで走行中に再び同じような衝撃を感じた。後方を確認すると、ディーゼル機関車から炎が上がっているのが見えたという。

 運転士は、沿線の民家への延焼を避けるため、開けている場所まで走行し非常ブレーキを作動。停止後に消火に当たり約1時間半後に鎮火した。負傷者は出なかったが、変速機や車両の一部が焼損した(図1)。

図1●火災事故を起こした信越線の車両
電気機関車に牽引されていたディーゼル機関車の変速機付近から発火した。事故当時、ディーゼル機関車は無動力回送状態でエンジンは作動していなかった。(写真:国土交通省)
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