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「日経ものづくり」2014年10月号の事故は語る「けん引中のディーゼル機関車から発火、曖昧な作業手順と確認の甘さで変速機が過熱」を分割して再公開した記事の後編です。前編はこちら

「中立」のはずが

 実はこうした事態を防ぐため、正逆転切替機構は「正転」「逆転」、高低速切替機構は「入換」「本線」という状態の他に、「中立」というクラッチを切った状態(中立ロック)にもできる*1。本来、無動力回送の際は、両切替機構とも中立にしておくよう作業マニュアルに定められていた。ところが、事故後の車両を調べたところ、正逆転切替機構は「正転」に、高低速切替機構は「入換」の状態になっていた*2。中立にするという作業マニュアルが順守されていなかったのである。

*1 低速時は「入換」に、高速時は「本線」にするが、このディーゼル機関車は主に駅構内での車両入れ換えに用いていることから、通常は「入換」の位置にある。

*2 これは、けん引作業前に新津駅構内で自走移動したときの状態と同じ。

 このため車軸の回転がコンバーターに伝わり、タービン羽根車が空転した。通常ならエンジンの動力による冷却水の循環で1速コンバーターを冷却するが、無動力回送に当たって冷却水を抜いていたことから同コンバーターが過熱して損傷。高温になった破片によって残っていたトルコン油が発火したと考えられている。