日本のスポーツコンテンツ、単純な輸出ではなく

 では、日本のスポーツコンテンツを世界に発信するという視点ではどうか。森村氏は「なかなか難しいところがある」と分析する。

「一時期、東南アジアで野球を広められないかと考えていました。ですが、道具や環境、指導者の問題があり、普及は簡単ではありません。単純に既存のスポーツを持っていくというのではなく、新しいアイデアをプラスする方が面白いと思います。例えば、ラジオ体操はアジアでもウケがいい。これにもう少しアクション要素を加えていけば、教育の現場などで広がっていくのではないかと考えています」(同氏)

 既存のコンテンツをそのまま輸出するのではなく、新しいコンセプトを加えたスポーツをつくり上げることがビジネスチャンスにつながる可能性があるというのだ。

森村國仁氏。電通スポーツアジア 代表取締役社長兼CEO。福岡県生まれ、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)卒業後、電通入社。プロモーション局を経て、1998年サッカー事業局(当時)異動。2002年日韓サッカーFIFAワールドカップほか、日本及び世界各地で開催されたメジャースポーツイベントにスポンサーシップ及び放送権のセールス、並びにコンサルティングとして関与。2010年9月にシンガポールにて、電通スポーツアジアを設立。以来、代表取締役兼CEOとして、東南アジア、インド、中東、オセアニア地域のメジャースポーツ及びエンターテイメントのスポンサーシップ及び放送権のセールス、並びにコンサルティングサービスに従事(写真:加藤 康)
森村國仁氏。電通スポーツアジア 代表取締役社長兼CEO。福岡県生まれ、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)卒業後、電通入社。プロモーション局を経て、1998年サッカー事業局(当時)異動。2002年日韓サッカーFIFAワールドカップほか、日本及び世界各地で開催されたメジャースポーツイベントにスポンサーシップ及び放送権のセールス、並びにコンサルティングとして関与。2010年9月にシンガポールにて、電通スポーツアジアを設立。以来、代表取締役兼CEOとして、東南アジア、インド、中東、オセアニア地域のメジャースポーツ及びエンターテイメントのスポンサーシップ及び放送権のセールス、並びにコンサルティングサービスに従事(写真:加藤 康)

国際スポーツビジネス最前線で働く3氏からのメッセージ

 セッションでは最後に、「国際スポーツビジネスで日本人が働くために大切なこと」について、3氏が聴講者にメッセージを残した。

「まずは自分がどういうことをやり遂げたいのかというビジョンを策定し、パッションを持ってそれに取り組んでいく。そして、コミットメントを果たすことが大切だと、常々考えています」(森村氏)

「私は“Think on your own(自分で考える)”が重要だと思っています。親が言ったからこうする、先生が言ったからこうするというのではなく、何が本質なのか、自分で考える力をつけていかないと、欧米ではうまくいきません。日々の練習が欠かせませんが、その力を身につけて、どんどん海外に羽ばたいていってもらいたいと思います」(岡部氏)

「“とにかくやってみる”という精神が大事だと思っています。考えて、考えて、出遅れるのはもったいないことですから。最近、『タダでもいいから手伝わせてください』『プレゼンを聞いてください』と自分を売り込んでくれる若い人が多くいます。これは非常にすごいことだと感じますし、そうした人たちのように、とにかくやってみることがチャンスを生み出すと思います」(神田氏)

神田康範氏。SVホルン副会長兼 CEO/HONDA ESTILO マネジメント部 執行役員。1981年、熊本県生まれ。オーストリア・ウイーン在住。熊本県立濟々黌高校、大阪大学/外国語学部(旧大阪外国語大学)を卒業後、ブリヂストンスポーツ入社。米国支社での4年半のマーケティング経験を経て帰国後、2012年スポーツマネジメント会社入社、その後本田圭佑の誘いを受けてHONDA ESTILO入社。本田圭佑の広告セールス活動、マネージャー業に従事。HONDA ESTILOのSV HORN参入と同時に当クラブの副会長兼・CEOに就任。SV HORN経営とアスリートマネジメントの二足の草鞋を履き、日墺で活動(写真:加藤 康)
神田康範氏。SVホルン副会長兼 CEO/HONDA ESTILO マネジメント部 執行役員。1981年、熊本県生まれ。オーストリア・ウイーン在住。熊本県立濟々黌高校、大阪大学/外国語学部(旧大阪外国語大学)を卒業後、ブリヂストンスポーツ入社。米国支社での4年半のマーケティング経験を経て帰国後、2012年スポーツマネジメント会社入社、その後本田圭佑の誘いを受けてHONDA ESTILO入社。本田圭佑の広告セールス活動、マネージャー業に従事。HONDA ESTILOのSV HORN参入と同時に当クラブの副会長兼・CEOに就任。SV HORN経営とアスリートマネジメントの二足の草鞋を履き、日墺で活動(写真:加藤 康)

 語学力やコミュニケーション力、海外の文化やスポーツそのものに対する知識など、世界を舞台にスポーツビジネスに取り組むために必要なものは数多くある。ただ、それらの中でも最も重視すべきは、自分の思いを実現するために「主体的に動いていく」ということなのだろう。スポーツの世界に限らず、主体性は日本人に不足する資質として挙げられることも多い。この力を磨くことが、国際スポーツビジネスで活躍する人材の輩出につながるのだろう。