「第4種目」を最大の収益源に

太田さんは日本フェンシング協会の登録者数を現在の約6000人から5万人に増やす目標を掲げています。そのための施策として、正式種目の「フルーレ」「エペ」「サーブル」に加えて「第4種目」を設ける提案をされています。

太田 フェンシング界の将来の発展を考えるとアジア戦略は重要ですし、これまでの3種目に縛られない、スター・ウォーズのような世界観を持った第4種目を開発し、100年ぶりに新種目が加わるような動きがないと将来はきついと考えています。

 例えば、スキーでもモーグルやハーフパイプのような新競技が五輪で採用されたように、現代に合った見せ方や競技性が必要だと思います。おそらくそれがアーバンスポーツに関わる流れで、「都心でできる」「ルールが分かりやすい」というのが重要な要素になってきます。

 この第4種目はフェンシングのビジネス化において肝となるでしょう。これが一番大きな収益源になる可能性があるからです。これをどれだけ安価にできるようにし、一般に浸透させられるかが大事だと考えています。このプロジェクトには、新たに採用した4名と取り組んでいきたい。現時点では、適宜、物を作って破壊してというサイクルを繰り返しています。今はまだ2周回って全然だめですけど・・・。

「ポスト2020」について、スポーツビジネス関係者の間では、現在の世間の盛り上がりが引いてしまうのではという不安の声が多くあります。この点について太田さんのお考えを聞かせてください。

太田 チャンスが到来した時に、計画を実行に移せるかどうかは、それまでの取り組みで決まると思います。東京五輪では選手はメダルを追いかけますが、我々にとっては、どうやったら今持っているリソースを最大化して2020年を迎えるかが重要になります。つまり、競技力の強化も運営組織の強化も両方進める必要があります。この部分は、東京五輪が終わった時点で、競技団体によってかなり差がついていると思います。