新ルールで投手のスペシャリストが絶滅?

 一方で、試合時間の短縮を図る意図ながら、チームの戦術、さらには選手の雇用にまで影響を与えるのではと物議を醸しているルール変更もある。それは来シーズン導入予定の登板した投手は少なくとも打者3人、またはイニング終了まで投げることの義務化だ。

 これによって頻繁な投手交代を抑制し、試合時間の短縮が図れるというのだ。確かに近年は完投や8回までといった先発投手が長いイニングを投げることは減り、セットアッパーやクローザーといった役割が定着、1試合に数多くの投手が登板することが多くなっている。

 しかし、このルールが導入されると、1人の打者対策で投手を登板させる、いわゆるワンポイント起用ができなくなる。MLBでも、左打者にワンポイントで左投手を起用する戦術はよく見られる。ワンポイントのスペシャリストとして契約を勝ち取っている投手もいるほどだ。

 このルール変更について全国紙のUSAトゥデーは「MLBの新ルールが投手のスペシャリストたちを絶滅させるかもしれない」という記事を掲載。その中でシカゴ・カブスのジョー・マドン監督は「戦略に影響する変更は気に入らない。試合の長さについては、私は本当に関係ないと思う。左腕の救援スペシャリストにとっては厳しいことだろう。さらにクリエイティブに、もっと完全な投手になることが求められる」とコメントしている。

 MLBの試合時間短縮策は今後も止まりそうにもない。昨年来導入を目指している投球間の時間を計時して20秒内に制限する「ピッチクロック」が、今シーズンのオープン戦で試験導入された。また、サイン交換をスムーズにするために投手と捕手が装着するコミュニケーション装置の導入まで検討されている。もちろん、選手会の反発は強そうで、すぐに導入とはいかないだろうが、プロスポーツとしての深い部分にまで手を入れる改革が行われていくことになるかもしれない。