FSMが注力する3つのポイント

 FSMは現在、次の3つのことに注力している。1つめはデジタル。2つめはブランドアクティベーション。3つめはファンとの結びつきを示すエンゲージメントだ。

 1つめのデジタルの必要性については、ブランドマーケティング費がデジタル(インターネット)へと移行している事実を挙げる。

 吉村氏「最近ではテレビ広告市場にデジタル広告市場が追いつき、それだけすごい勢いで物事がデジタルに移行していることを示しています。ただし、テレビ広告がダメになったというわけではありません。テレビ広告の効果も依然として大きいが、拡大しているのはデジタルというように複雑化してきています」

 「我々が行った施策の一つで、ツイッターを使ったものがあります。レッドソックスでは翌シーズンのチケットを12月半ばという割と早い段階で売り始めます。『早くしないとチケットが取れなくなるかも』と思ってもらうこと、そしてクリスマスギフトとしても活用してもらうことが目的です」

 「しかし、12月というと野球はシーズンオフなので、野球に対する“興奮”を呼び戻す必要があります。その際に行ったのが、クリスマスに合わせてファンの願い事をレッドソックスのツイッターに投稿してもらう、『ギフトソックス』というキャンペーンです。私たちは社員総動員で、投稿されたユーザーのお願いを叶えます。例えば学校に選手が来て欲しいというお願いに対しては、選手に協力してもらって実際に行ってもらいました」(同氏)

 2つめのブランドアクティベーションについては「我々を使っていただき、クライアントのブランドストーリーをどう伝えていくのかが大事」と話す。

 吉村氏「スポーツは露出の中でも非常に効果があります。テレビCMはハードディスク録画機の普及などで、最近ではスキップされてしまう傾向にあります。試合の録画を見ていてテレビCMを飛ばす人が増えていく一方で、サッカーでゴールを決めた瞬間や野球でホームランを打った瞬間を早送りする人はいません。そういったシーンで露出を確保する、その上でクライアントのストーリーをどのように伝えるかが非常に重要です」

 3つめのエンゲージメントについては「レッドソックスを例に挙げると、フォロワー数などではより多いメジャーリーグのチームはあります。ただ、投稿のシェアやいいね、ユニークビジターなど、そういったデータを含めるとレッドソックスはトップに躍り出ます。今日の試合結果だけでなく、“今日は誰が投げたのか”“先発は何球投げたのか”“リリーフは誰か”など、そういった細かいところまで気にしてくれるファンが多いのです。それもエンゲージメントが高い証拠だと思います」

 「エンゲージメントが高いとどんなメリットがあるのか。パートナーシップを結んだときのブランド認知や好感度が向上します。実際にブランドを使用する人も増えている。クライアントにも数字的な説得ができます」(同氏)