エンジニアは数学オリンピックの元日本代表

まずは3人が出会ったきっかけを教えてください。

的矢 私と梅澤は高校の同級生です。性格は全く違うのですが、お互いが持っていないものを相手が持っている、ということで自然と一緒に活動するようになった、という感じです。

梅澤 的矢はこう見えても「数学オリンピック」の日本代表選手だったんです。エンジニアとして能力が振り切っている感じで、文系の私とは真逆なタイプです。的矢が言う通り、お互いが補完関係にあるので、仲がよくなったという感じです。お互い中高一貫校で学び、6年間一緒だったということもあります。

小林 私は高校は二人と一緒なのですが、実は年齢は離れていまして、同級生だったことはないんです。出会いの始まりは、私がアイスホッケー連盟の委員をやっていた関係でいろんなところに行っていたのですが、その一つのスポーツアプリを開発するベンチャー企業で、梅澤がインターンをしていて出会ったことでした。

それで仲良くなったのは分かるんですが、スタートアップを立ち上げよう、というところに至ったのはなぜなんですか。

小林 その後、大学スポーツを盛り上げよう、というイベントに携わることがあって、同じ大学なこともあり、声をかけて一緒にイベントをやりました。その帰りに「スポーツでちゃんとお金が回るようにしたい」「スポーツはある意味すごく“ブルーオーシャン”な市場だと思う」「ちゃんとやればもうかる」という話ですごく意気投合しました。

梅澤 実は私たちが今提供しているのは「電子トレカ」という、かなり分かりやすいエンタテインメントサービスなのですが、ベンチャーを始めた当初は「スポーツでもうかるのはベッティングだ」と言う風にお互い考えていたんです。

 ちょうど、仮想通貨やICO(Initial Coin Offering:コイン発行による資金調達)のブームが一気に起こっていたころだったので、もっとスポーツに投資ができる、お金が回るような仕組みを考えていました。(フィンテック系サービスの)「VALU」など、個人に投資する仕組みも出てきたので、CtoC(消費者to消費者)でお金が回るような仕組みは、容易に構築できることが分かってきました。

 ただ、私たちは議論しているうちに2つの課題があることに気づきました。一つは「キャピタルゲインしかない」ということ。もう一つは「トークンを持っていてもうれしくない、人に自慢もできない」という課題です。

電子トレーディングカード取引サービス「whooop!」の画面。国内外のサッカー、バスケットボールなど12のプロチームでの採用が決まっている
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(図:Ventus)
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そこをどのように抜けて今のステージにたどりついたのですか。

小林 話だけをしていても仕方がないと思い始め、そろそろ会社を作って、アクセラレーションプログラムに応募してみようという話になりました。

梅澤 ちょうど東京大学の産学協創推進本部がスタートアッププログラムを実施していたので、そこに応募し、エンジニアが足りない、ということで的矢に声をかけました。

的矢 当時、個人的にVALUに注目していました。でも、仕組みだけではうまく行かず、熱狂するものがないとダメだろうな、と考えていました。人が熱狂するのはアイドルかスポーツです。でも、アイドルは「Showroom」(双方向コミュニケーションに対応した仮想ライブ空間)などの仕組みが既にあるからもう難しい。だったらスポーツでと考えていたら、梅澤から今スポーツでこんなことを考えているというのがLINEで送られてきて、びっくりしました。ちょうどエンジニアとしてもプロダクトレベルのものを作りたいと考えていたので参加しました。

梅澤 運良く小林と的矢もお互いに馴染むのがすごく早くて、二言ぐらい話したら意気投合しました。それも運命的な出会いでした。

的矢さんはスポーツをそのように捉えていたわけですね。他のお二人は、改めてなぜスポーツだったのですか。

小林 僕はアイスホッケーですね。大学でもアイスホッケーをやっていたので、それがきっかけです。どちらかというと競技側の目線かもしれません。

梅澤 僕は3歳からずっとサッカーをやってきました。それ以上にサッカーの熱烈なファン、サッカーおたくということがきっかけですね。地元が千葉なので、小さなころからJEF(ジェフユナイテッド市原・千葉)のユニフォームを着て応援に行っていました。そう言う意味ではファン目線ですね。