世の中に風穴を空けたい

ぜひお聞きしたいのですが、「会社を創る」ということにどんな認識を持っていますか。

的矢 投資家からお金を集めて、リスクがありながらも自分のアイディアをレバレッジさせていく手段が、今の時代なら会社を創る、ということだと思っています。

梅澤 実は、僕は起業をする気はあまりなかったのですが、大学で勉強をしているうちに、スポーツやエンタテインメント業界で働きたいと思い始めました。スポーツアプリのベンチャーでインターンをしていたら、いろんな経営者に会えて、これはこれでとても面白い世界だなと。ただ、新卒ですぐにできる仕事でもなさそうだ、ということが分かってきました。

 振り返ってみると、自分の人格を形成してきたのは、勉強ではなくやっぱりサッカーでした。所属していたサッカーチームは弱かったので負けることが多かった。負けが今の自分を作っていると考えています。

小林 もちろんスポーツやエンタテインメントに興味があった、ということはあるんですが、自分がやるからには、世の中に何か名を残したい、影響を残したい、という欲求が強いです。そのために、自分の世界観を徐々に広げていくには、創業がいい機会になるんじゃないかな、と思いました。1000人の大企業の1人のままでは、世に何か影響を残すことは難しい。自分で会社を創って、その「カイシャ」というものに自分を投影できれば、カイシャの存在がマーケットに問われながら、世に影響を与えて、売り上げを上げればそれが自分が評価されることになると発想した次第です。

「whooop!」を採用している鈴鹿アンリミテッドFC
「whooop!」を採用している鈴鹿アンリミテッドFC
(図:Ventus)
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自分たちが直接社会に影響を与えよう、として創った会社の名前を「Ventus」としたのには、どんな理由があるのですか。

小林泰氏
小林泰氏
(写真:石井宏司)
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小林 Ventusという単語は「風」という意味なんですが、一つは世の中に風穴を空けたい、という気持ちを込めています。もう一つは、その空いた風穴から、頑張っている人に風が吹けばいいなという思いを込めています。

今は起業家になって活躍しているわけですが、みなさんの今後のキャリア観はどんなものでしょうか。

梅澤 僕の場合は両親が2人とも自営業ということがあって、あんまり会社に入る、という図が想像できないんです。定時に行って定時に帰るとか、毎月何日に決まった給料が入るとか、スーツを着て通勤するとかを、イメージしにくいというのがあります。

 起業して良かったのは、営業としての役割を持って動いていると、そこで経験する中で次のキャリアや自分がやりたいことが見えてくる。そうすると不思議と「うちにおいで」という会社が今3社も出てきて、結果的に自分がやりたかったスポーツ業界のキャリアに近づいている感じがします。

的矢 自分は理系なので、大学に入って修士、博士、研究者というキャリアパスは何となくはイメージしていました。もう一方で、やりたいことにはとりあえず手を出す、というところも大事にしているので、起業という話も面白そうだと思ってやってみている、という感じです。

 もちろん、学生エンジニアはコストが安いこともあって、結構引き合いがあるのですが、僕にとっては誰とやるか、というのがすごく大事な点で、その意味では最高の環境ですね。お互いに何を言いたいか、分かり合っている関係性なので。

小林 僕は彼らと違って、高校二年生の時に東日本大震災があって、その後、大学生活が始まりました。だから、僕らのころは起業する学生は周りには一切いませんでした。僕の場合は、1つ上の先輩に誘われて「東大ドリームネット」という交流会に行ったことがきっかけで、社会のいろんな人に会うことができました。官僚の人や外資系コンサル会社の人、外資の金融会社の人、起業家といった人たちに初めて会いました。

 その後、普通に就職活動もして、インターンもしてみましたが違和感を覚えました。何が違うかっていうと、組織の中にいる人は、物事の考え方が相対的なんだと思いました。まず最初に他と比較して、周囲を見て、その中で「自分はここ」という風に考えて決めている。

 

 でも起業家は、「自分がこうだ」という風にまず自分の原点や基準を決めて、そこから考える。自分は起業家として生きていくしかない、という結論に達しました。