スポーツの体験価値提供も視野

 SPORTS BULLで試合を観戦している人はどれくらいいるのでしょうか。

黒飛 SPORTS BULL全体のアクセスで言いますと、2018年8月時点での最高DAU(Daily Active Users:1日当たりのアクティブユーザー数)は300万を超えました。パソコンでも観れますが、アクセスの8割はスマートフォン(スマホ)です。ユーザー数は伸び続けていて、昨年6~8月期と比較すると今年は前年同期比で4~5倍になりました。高校野球を始めとする夏の競技やインターハイも全30競技を観られるようにしたので、この効果は大きいです。

 すべてのアマスポーツが同様ではないですが、高校野球やインターハイなどの試合は平日にも行われています。平日なので、ビジネスマンや学生は家で試合を観れません。だから、ランチの時間帯にアクセス数がぐんと上がります。たぶん、お昼ご飯を食べながらスマホを横において観ているのでしょう。ユーザーは必ずしも試合の時に自宅にいるわけではないため、ネット経由ですべての端末に配信することにより、視聴者に“応援する自由”を提供しています。

 また地方大会の試合は、地元を出てしまった人にとっては放送エリアの関係でなかなか観る手段がありません。実際、SPORTS BULLには、海外に居住されている日本人からのアクセスもあります。世の中全体の盛り上がりという点では甲子園の本大会は大きなインパクトがありますが、そのインパクトは地方大会の一つ一つの試合をきちんと応援できる環境作りが影響を与えていると感じており、裾野から大会、競技を盛り上げていく価値があると考えています。

 視聴に関する数字で我々が毎日確認しているのが、アプリをインストールしてくれた方が、次の日も使うのか、1週間後も使い続けているのかを示す「リテンションレート」です。それを分析すると、必ずしも知名度の高い大きな大会だけがそのスコアに寄与しているわけではなく、“熱量の高いコンテンツ”がいかに大切かという結果が出ています。

 SPORTS BULLのビジネスモデルを教えてください。

SPORTS BULLのトップページ画面例
SPORTS BULLのトップページ画面例
(図:運動通信社)
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黒飛 無料の試合配信なので、“一定の制限”をかけた上での広告ビジネスが主体です。一定の制限とはこういう意味です。未成年の部活動の延長戦上にあるコンテンツにおいては、アルコール飲料や金融商品の広告を意識的に「非掲載」としています。もちろん、我々がサービスを運用していく上で収益化は重要ですが、部活動の健全な普及と発展が大前提となります。

 学生スポーツの試合の多くは“ロングテール”です。年間を通じてさまざまな大会を配信して“面”にすることで、数量の点での広告価値を担保できます。あとは視聴者が持つ熱量をどう生かすかです。“濃い”モーチベーションを持った人と広告主のコンテンツをしっかりマッチングできると広告効果は高まります。ネットの世界ではアドネットワークが普及していますが、特にスポーツに関しては、どの広告主のどのコンテンツが流れるか分からないアドネットワークはあまり向いていない。一般的なアドネットワークに頼らない形の広告ビジネスモデルを作りたいと考えています。

 現状は広告をベースにした試合の無料配信ですが、視聴者にはそれを入り口としてトータルのスポーツ体験を楽しんでいただきたい。具体的には、自分でもやってみるとか、現地で応援するとか、母校ががんばっていたら寄付するとか。まずはスマホで、すべてのアマスポーツを観られる環境作りをしていきますが、その先には視聴者にスポーツの体験価値を提供して、そこでビジネスをすることを中長期的なビジョンとしています。