日本サッカー強化のためにカレンダーを変更

その他に、今検討している取り組みはありますか。

須原 具体的に考えているのは酷暑への対策です。2018年の夏は非常に暑かったですが、それでもスポーツは実施されていましたよね。JFAは2016年に熱中症対策のガイドラインを作りました。今年はさらにもう一歩進み、場合によっては全国大会の予選を消化しなくてもいいというメッセージを出したんです。以前は、「こういうときは試合をしては駄目だけれど、でも試合は消化しろ」という内容でした。私自身、かつてはサッカー審判員や少年サッカークラブのお父さんコーチとして活動していた身ですので、JFAからのお達しに対して「どうしろと言うんだ」と憤ることもありましたから、「予選を消化しなくてもいい」というのは、小さいけれどとても意味のある一歩だったと思います。

 ただ私は、こうした暑熱対策を抜本的に変えたいと思っています。例えば、真夏に試合や練習をしなくてもいいようなカレンダーに変えたいんです。なぜこれを実行したいかと言うと、ひとつは選手やサポーターの安全を確保するためです。もうひとつはマッチ・トレーニング・マッチ(M-T-M/試合をして出てきた課題に対して練習し、また試合をするという強化のサイクル)の品質を高めるためです。

 このM-T-Mのサイクルはサッカーに限らずすべてのスポーツで重要な強化のサイクルなのですが、酷暑の中無理やりマッチをしてもその品質は下がってしまいますし、むしろ負のサイクルに入ってしまう。であれば、夏の間は試合をやめて、知識をつけたり、フィジカルを鍛える時間に費やすようにすべきだと思うんです。そうすることによって、サッカーは強くなると思います。

 この考えにはJFAの技術委員会も賛成ですし、我々の内部では方向性に合意しています。総論では他の関係者も賛成なんです。ただ、各論になると反対意見や課題が山のように出てきます。ですから決して簡単ではありませんが、様々なステークホルダーと丁寧に、時間をかけてコミュニケーションを繰り返していき、実現したいと思っています。