クラブのブラックボックスを無くす

ところで、「おこしやす京都AC」というクラブ名称は非常にインパクトがありますが、どういった経緯でこの名前になったのでしょうか。

おこしやす京都ACの添田社長
おこしやす京都ACの添田社長

添田 以前はアミティエSC京都という名称でした。もともとサッカースクールからスタートしたクラブで、今でも同ブランドが関西を中心に幅広い地域でスクールを運営していて、関西圏では3000人ほどの生徒がいます。ただJリーグの規約では、原則としてホームタウンを含む都道府県が活動区域になっているのです。つまり今後Jリーグ入りを目指していく中で、トップチームとスクールを同一名称で展開してしまうと他のJリーグクラブを侵害してしまいます。それは僕たちも本意ではありませんので、トップチームの名称を変更することになりました。せっかくならば京都らしさを前面に出せる名前にしようということで、「おこしやす京都AC」という名称に変更し、合わせてロゴデザインなども変更しています。

 おこしやす京都ACにとってはスクールを運営していることは1つの強みになっています。JFLからJ3に昇格する際、ホーム試合の1試合平均観客数が2000人以上という条件がありますが、これをクリアする上で3000人ほどの生徒と関係性を持っていることは大きなメリットだと言えます。

では逆に、現在クラブが抱えている課題は何でしょうか。

添田 やはり経営基盤的にはまだまだ弱いと言わざるを得ません。パートナー企業もそうですし、ファンやサポーターの数もまだまだです。ただ、すべて一度に取り組んでも上手くはいかないので、まずは資金調達に注力したいと思っています。

 地域リーグからJFLに昇格して他チームと伍して戦っていく上で必要な予算は1億円ほどですが、それをどうやって調達していくかは今後の課題です。おこしやす京都ACの場合、2017年の予算もそれくらいでした。ただスポンサーフィーだけだとその金額には届かないので、個別の企業にアプローチをかけて株式を購入していただくといった形で資金調達を行っています。実際のところ、地域リーグのチームのスポンサーになっていただいても宣伝効果は薄いので、それならば株を持っていただき、クラブを育ててもらう方が価値を提供できると思っています。

 藤枝MYFCのときにも小山はそうした手法で資金調達を行い、4億円ほどを集めました。その後J3に昇格してからはスポンサーフィーだけでも十分な予算を集められるようになり、最終年には2.1億円の売上を計上しています。こうしたスキームも標準化していきたいですね。

スポーツクラブの経営は難しいというイメージが強いですが、J3でもうまく運用できているのですね。

添田 黒字化する上で大切なことは、少ない人件費で結果を出すノウハウを貯めることだと思っています。ただ、クラブ経営はブラックボックスが多いんです。例えば強化に関することは経営陣が見てもわからないのでブラックボックスになりがちなのですが、それが続くと、経営陣が現場を評価するノウハウが貯まっていきません。

 Jリーグで言えば鹿島アントラーズさんなどはそうした部分をすごく上手に回していますが、我々もどうすれば良いサイクルで回して行くことができるのか、ブラックボックスをなくせるかということには取り組んでいます。

 逆の観点で言うと、そういったノウハウや報告体制をしっかりと構築しておかないと、スポンサーやパートナー企業も投資しづらくなります。仮に僕が投資家であったとしたら、しっかりと説明をできない組織に投資をしたいとは思いません。だから、情報の部分にも気を使っていきたいと考えています。