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「日経エレクトロニクス」2015年5月号の無線モジュールの要、アンテナ設計の基礎「[第2回]アンテナ設計は怖くない、電波が伝わる仕組みと用語を理解」を分割して再公開した記事の後編です。前回はこちら

前回は、アンテナでよく使われる専門用語のうち、デシベル、インピーダンス、スミスチャートについて解説した。今回は、定在波、アンテナの偏波(直線偏波)、アンテナの偏波(円偏波)、アイソトロピックアンテナ、ダイポールアンテナ、ダイポールアンテナの絶対利得、相対利得、アンテナの指向性(ビーム幅)、電界強度の順にそれぞれ説明する。

 前回に続いて今回も、アンテナ設計を学ぶ上で理解しておく必要がある用語について解説する。(d)定在波、(e)アンテナの偏波(直線偏波)、(f)アンテナの偏波(円偏波)、(g)アイソトロピックアンテナ、(h)ダイポールアンテナ、(i)ダイポールアンテナの絶対利得、(j)相対利得、(k)アンテナの指向性(ビーム幅)、(l)電界強度の順にそれぞれ説明する。ちなみに前回は、(a)デシベル、(b)インピーダンス、(c)スミスチャートの順にそれぞれ説明した。

(d)定在波

 アンテナと無線機を同軸ケーブルでつないだとき、進行波が100%で反射波が0%になれば理想的である。しかし、アンテナと同軸ケーブルのインピーダンスが異なっていると、そこで反射波が起こる。すると、同軸ケーブルでは無線機からの進行波とアンテナから跳ね返ってくる反射波が干渉し、その結果、定在波が発生する(図9)。

図9 定在波とは
進行波と反射波が干渉することで、進行波の1/2の波長の定在波が発生する。
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 定在波は、そこを流れる高周波信号の1/2波長ごとに最大電圧と最小電圧が存在し、場所が動くことなく繰り返される。この定在波の最大電圧と最小電圧の比率をVSWR(voltage standing wave ratio)と呼ぶ。VSWRが1のとき、アンテナとしては最良のインピーダンス整合状態になっている。

 進行波と反射波の電圧の比率(反射係数)による定在波の違いを、図10に示す。反射係数が1のときは、進行波の振幅の2倍の電圧が定在波として発生することが分かる。アンテナが外れたりショートしたりすると反射係数が1になるので、無線機の設計では、そこに用いる電子部品の耐圧は高周波信号のピーク電圧の2倍に、安全率を掛けた耐圧を考える必要がある。

図10 反射係数による定在波の違い
反射係数が1のとき(右下)、進行波や反射波の2倍の振幅の定在波が発生する。
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