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8月、オルトコインBitcoin Cashが誕生

 一方で、2017年8月1日に、オリジナルのビットコインからハードフォークして新たな仮想通貨(オルトコイン)Bitcoin Cashが誕生した。このBitcoin Cash誕生はUASF対抗とは直接関係がない出来事だったが、UASFと同じ日程で計画されたことから、人々に「ビットコインの騒動からBitcoin Cashが生まれた」との強い印象を与えた。新たな仮想通貨のマーケティングとしては絶妙だったとの見方もできる。

 Bitcoin Cashの背景にはBitmain Technologies社がニューヨーク合意よりも後の6月14日に、「UASF発動時の危機回避策」と称して提案したUAHF(User Activated Hard Fork)がある。これは、8月1日にUASFが発動した場合にはそれに対抗して「ビッグブロック派」の仕様を取り入れた別のビットコイン実装をハードフォークする提案である。SegWitに非対応のこの案は、実施には至らなかった。実際、Bitcoin CashについてBitmain Technologies社は、「自社とは独立した動きである」と言明している。

 Bitcoin Cashは、ビッグブロック派の有志が8月1日にUAHFのアイデアを実行して誕生したものとされる。マイニングプールと取引所を運営する中国の企業ViaBTC社はBitcoin Cashを取り扱うといち早く表明しており、Bitcoin Cashの仕掛け人はViaBTC社であると考えられている。

 この経緯の解釈は難しい。建前としては「Bitcoin Cashは一部の有志が行った自主的なハードフォークである」という枠組みだが、実質的にはBitmain Technologies社を含む多くのマイナー(マイニングプール)がBitcoin Cashを支持していると考えられている。実際、Bitcoin Cashには多くのマイナーがハッシュパワーを投入している。本家ビットコインの名称とブランド、市場価格は継承できなかったものの、今後の経緯次第ではBitcoin Cashはビッグブロック派が目指した「あるべき姿」として成長する可能性はある。

 Bitcoin Cashは、オリジナルのビットコインのハードフォークなので、分岐(フォーク)した時点の全情報を受け継いでいる。仮想通貨取引所や、ビットコインウォレットにビットコインを預けていたユーザーは、分岐時点でのビットコイン残高と同じ残高のBitcoin Cashを受け取る形となった。株式の分割のような現象といえるが、株式分割の場合は分割時点で価格も分割するので、急に資産額が増える訳ではない。一方、Bitcoin Cashのハードフォークの場合は、オリジナルのビットコインの価格は下がらずにBitcoin Cashにも値が付いた。ビットコインの所有者にとっては「何もしなくても急にお金が増えた」現象として見えたのである。

ウォレット=ビットコインユーザーの秘密鍵の管理や、取引の生成を担当するソフトウエア。