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Bitcoin Cashとのハッシュパワー争奪戦が起きる

 Bitcoin Cashは登場直後の時点では送金に非常に時間がかかり、使いにくかった。Bitcoin Cashの「採掘難易度」が当初はオリジナルのビットコインと同じ高い値に設定されていたのに対して、採掘に参加するマイナーのハッシュパワーが乏しいためにブロック生成の間隔が時には3時間程度と長かった。また取引確定までのブロック生成数がビットコインは通常6個(6承認)のところをBitcoin Cashでは20個(20承認)が必要であることも送金に時間がかかる理由である。8月5日時点でBitcoin Cashの送金を試してみところ、取引の完了には29時間もかかった。

 この状況は長くは続かなかった。Bitcoin Cashはオリジナルのビットコインより短い周期で採掘難易度の調整が進む仕様を備えている。8月18日頃には、採掘難易度が下がるとともにBitcoin Cash市場価格が上昇したことから、マイナーにとっての収益性はオリジナルのビットコインよりBitcoin Cashの方が約2倍も良い状態になった。この結果、ハッシュパワーがBitcoin Cashに集まり、ブロック生成間隔も短くなった。

 原則として、マイナーは経済合理性に従って動く。注目すべきなのは、オリジナルのビットコインよりも採掘の収益性が悪い時期に、あえてBitcoin Cashを採掘したマイナーがいたことだ。

 ビットコインとBitcoin Cashの収益性はシーソーのように揺れ動き(図1)、それに伴い投入されるハッシュパワーもシーソーのような上下動が続いている。数字が上下する理由は、ハッシュパワーをBitcoin Cashに投入し続けると採掘難易度が上昇して収益性が下がり、マイナーはハッシュパワーを収益性が良いオリジナルのビットコインに振り向けるようになり、それによりBitcoin Cashの採掘難易度が下がり、マイナーが再度ハッシュパワーを振り向ける──こうした小刻みな動きが続いているからだ。

図1 ビットコインと比較したBitcoin Cashの収益性の推移
図1 ビットコインと比較したBitcoin Cashの収益性の推移
100%を上回る領域ではBitcoin Cashを採掘した方が収益性が良い。ただし、Bitcoin Cashを採掘しすぎると採掘難易度が上昇して収益性が下がる。そのため収益性はシーソーのように上下動を繰り返している。(出典:ビットコイン関連の情報を提供するWebサイト「Coin Dance」)
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 時間が経過すれば、ハッシュパワーの配分比率はビットコインとBitcoin Cashの収益性が釣り合う値で均衡するだろう。ただし、しばらくの間は、本家ビットコインとBitcoin Cashの両方で送金時間が数時間と長くなる時間帯がときどき発生するかもしれない。