チームや選手の強化をファンに楽しんでもらう

―― 議論の中で重視した点は、チーム施設と観戦環境ということですね。

光岡 はい。選手の育成環境を整えることと、試合を見に訪れるファンの観戦環境を整備することです。古い施設を新しくするだけではなく、世の中のニーズに合わせて、これから球団が目指す姿を描き、プラスアルファの価値を提供できる施設にしようと考えて計画してきました。

改修後の屋内練習場のイメージ(画像:西武ライオンズ)
改修後の屋内練習場のイメージ(画像:西武ライオンズ)
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―― 今後、ファンには具体的にどのような進化や方向性を見せたいと考えていますか。

光岡 チームや選手の強化の様子をきちんと見てもらえるようにしたいと考えています。西武ライオンズの特色は、本拠地球場とファームの練習場、選手寮が同じエリア内に一体で存在していること。これは西武ライオンズだけの特色です。球団が所沢に移ってきた40年前にも画期的でしたが、今でも画期的な特色になっています。例えば、試合が終わってから選手がすぐに練習できたり、移動の時間がかからなかったりするといったメリットがあります。

 ただ、この特色ある育成環境は、ファンに見ていただける環境ではありませんでした。それを変えていきます。例えば、第2球場には観客席を設置し、ファンに快適に楽しんでもらえるようにする予定です。こうした「見られる環境」は、これから期待される若手選手にとってもプラスと考えています。やはり、ファンが見ている環境で練習をすることによって、意識が変わってくるからです。ファンに楽しんでもらえるようにすると同時に、チームや選手の育成、成長につながることを期待しています。

 スタジアムでの観戦環境では、大きく2つのことを計画しています。1つは、12球団最大級のVIPラウンジです。現在、バックネット裏にあるボックス席の下はお客様向けの施設になっていません。そこを掘り下げて、VIPラウンジにします。バックネット裏のVIPラウンジから直接観戦できる球場はあまり他になく、新しい観戦価値を提供できると考えています。

新しいVIPラウンジのイメージ(画像:西武ライオンズ)
新しいVIPラウンジのイメージ(画像:西武ライオンズ)

 もう1つは、屋根があるけれども開放型というメットライフドームの特色を生かした観戦環境を整えることです。

 開放型ゆえの暑さや寒さの課題は完全ドーム化すれば解決するので検討はしましたが、ドーム球場をもう1つ造れるくらいの建設コストがかかることが分かりました。工期も長期になり、オフシーズンだけでは改修しきれません。

 そこで、「ドーム球場ではあるものの、壁がない開放型だからできることがあるのではないか」という発想にたち戻り、ドームの外に広がりを持たせて、ファンが楽しめるもう1つの空間を造るという発想に至りました。

 例えば、スタジアムと、外にあるショップをつなぐデッキを渡して、スタジアム外の空間も一体となって使える様に改修する予定です。現在の構造だと、ショップとスタジアムが離れているため、どうしても隔たりがある感じになってしまっていますが、それを改善します。このほかには、球場に入ってすぐ右手に山のように盛り上がっている場所を外で遊べるキッズパークにする計画です。小さいお子さんが野球の観戦で3時間座り続けるのは難しい。だから、お子さんが楽しめるような場所にしていきます。

 暑さ、寒さについては、「逃げ場」をつくって対応する計画です。新しく造るVIPラウンジや、フードエリア、グッズコーナーは冷暖房完備にしていきます。3時間の公式戦の中でリフレッシュしていただけるような場所にしていきたいと考えています。

(次回に続く)