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―スマートスタジアムに向けたITインフラとして、今回はどのようなことがアルバに求められたのですか。

Mitra 観客のニーズに応えるために、通信品質の劣化は絶対に許されませんでした。「ノンストップWi-Fi」が要求されたのです。そのことが、アルバが今回のスタジアム案件に関わるきっかけになりました。この背景には、サッカー観戦の変化があります。

―アメフトや野球など米国で盛んなスポーツは、試合中にプレーが止まる場面が多いため、多くの観客がスマートフォン(スマホ)で動画を見ています。一方、プレーが止まる時間が少ないサッカーでは、試合中にスマホを使っている観客は少ないようにも思いますが・・・。

Mitra 試合中の通信データ量の増大はサッカーでも変わりません。確かに、野球やアメフトと比べるとサッカーには(試合が止まるような)間は少ないです。でも、本来は禁止されている行為かもしれませんが、(スタジアムに来ていない)家族や友人のためにスマホで試合を動画撮影してそれを送ったり、試合の重要なシーンや自分の姿を写真に撮ってSNSで共有したりといった楽しみ方が一般的になっています。これによって大量のデータトラフィックが発生しています。

トッテナムが求めた5つの要件

―ITインフラについて、トッテナム・ホットスパーFCから具体的にどのような要求があったかを教えていただけますか。

Mitra 大きく5つの要件がありました。第1に通信速度、第2にWi-Fiを利用できない「デッドスポット」を無くすこと、第3に通信データ量急増への対処、第4に位置情報サービスの導入、第5にセキュリティーの確保、です。

 第1の通信速度については、たとえ6万2000人が同時に接続しても速度が低下しないWi-Fi接続環境の実現が求められました。5年前なら試合中は携帯電話を使うよりはゲームに集中しようという認識が観客に強かったため、ネットにつながりさえすれば良かったと思います。しかし最近では、スマホを介したリアルタイムのコミュニケーションへの対応が必須の要件になっています。

 このため、データ転送能力に対する要求は厳しいものがあります。新スタジアムには、高密度Wi-Fiに対応したアクセスポイント(AP)を700~800カ所に設置。実効的なデータ転送能力(スループット)は満員の観客が同時に接続したとしても、平均で1Gビット/秒を確保します。

 通常は1Gビット/秒ですが、これを状況に合わせて2.5Gビット/秒、さらには5Gビット/秒に自動で高める当社の技術「Smart Rate(スマートレート)」を提供します。

―第3の要件として挙げられた「通信データ量の急増」への対処について具体的に教えていただけますか。

Mitra スタジアムでは、膨大な通信データがある特定時間帯に集中することがあります。例えば、2016年2月に米国カリフォルニア州の「リーバイス・スタジアム」で開催されたNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」では、スタジアムのネットワークを使って3時間で10テラバイトもの膨大なデータが転送されました。もちろん、時間ごとの通信データ量は一定ではなく、試合のハイライトになったシーンや、スーパーボウルで有名な「ハーフタイムショー」の際に急増しました。

 最新のスタジアムには、こうしたデータ量の急増に耐える通信インフラが求められます。そのためには、一時データを保存しておくバッファリングや、システムが稼働し続けるための可用性が必要になります。もちろん、通信品質の劣化は絶対に許されません。