PR

 ずいぶん変わったものである。例年この時期に気を病むのが、いかにして確実に最新機種を手に入れるかだ。発売日早朝から何人かで並んだり、受け取りの手続きに骨を折ったりしていたのが、今年は嘘のようである。朝一番とはいかなかったが、予約した午後2時より10分ほど前に店舗に着くと、予定の時間が来るよりも早く店を後にしていた。お目当のiPhone 6sを手にして…。

 そもそも予約自体が簡単だった。Apple社のWebサイトで何度かクリックして、狙いの機種を選ぶだけ。確認のメールもそっけなく、来店の時間と住所、持って行くべきものなどが記してあったくらい。キャンセルの方法すら書いていなかった(正確を期すと、「オンラインでは予約の変更やキャンセルはできません」と書いてあった)。

 当日も、あれよあれよと話が進む。指定の店舗に着いて、入り口の店員にSIMフリーだと伝えると、数名が並ぶ列に即座に案内される。妙齢の女性が歩み寄りメールアドレスを聞くのでドギマギしていたら、予約を照合して、並んでいる間に製品を用意しておくとのこと。数名の行列はあっという間に解消し、早くも自分の番が来る。すぐさま箱を渡され、iPhoneにカードリーダーをつけたような端末でクレジット決済が終わり、領収書もその場で発行してもらった。あっけにとられるほどあっさり完了した。

 思えば7年前、日本で最初に発売された「iPhone 3G」のときは、同僚と二人、一晩を路上で明かしてようやく手に入れたものだった。当時はiPhoneを扱う唯一の事業者だったソフトバンクやApple社の対応にいささか立腹し、両社を皮肉る記事を書いたのが懐かしい(残念ながら記事は古くなり、リンクは残っていません)。何年もの騒ぎの繰り返しが、整然とした販売スタイルにつながったのなら、記憶に苦いあの晩も報われようというものだ。

 もちろん、改善の余地はある。今回入手するはずだったのは、本当は別の機種だった。新色が目もあやな、大きい方の端末だ。通信事業者のサイトで予約開始後2分で申し込みが済んだので、てっきり売り出したらすぐ受け取れると思い込んでいた。ところが、「在庫の確保が出来しだい」送られるはずの「本申し込みのご案内」が、いつまでたっても届かない。発売3日前に届いたメールに胸を躍らせたが、「今しばらくお待ちください」と来たうえ、「入荷予定日はご案内できません」とダメを押された。

 結局、案内が来たのは、店頭で販売が始まった2時間後である。素早く予約ができたはずが、不安ばかりが募る状態に放置されたのは、Apple社でなく事業者のサイトだったからか。あるいは店舗でなく自宅での受け取りを指定したせいか。いずれにせよ目的を達した今、こちらの予約はキャンセルするほかない。iPhone 6sは早くもバラバラの状態である。

在りし日の姿
在りし日の姿
[画像のクリックで拡大表示]