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米国でもELIZA型エージェント

 以上はすべて日本で開発されたものだが、米国での有名な例も紹介しよう。一つはUniversity of Southern California(USC)が開発した「Virtual Human Museum Guides」(http://ict.usc.edu/prototypes/museum-guides/)。3次元グラフィックスで表示されたエージェントが博物館を案内するシステムだ。ボストンの科学博物館で稼働している。実は仕掛けはELIZAとほとんど同じで、様々な発話に対応するテンプレートを基に返答する。例えば「What’s your name ?」と聞かれたら、二人の仮想人物のそれぞれが「My name is Ada」「And I’m Grace」と答える。

 大画面に実物の人間と同程度の大きさのエージェントが表示される。高校生くらいの女性の体格を計測して3次元モデルを作ったという。一番の特徴は、登場する二人のエージェントを双子の設定にしたこと。ユーザーの発話に対して、一人よりも二人で答えた方が、対話がより盛り上がるためだろう。

 もう一つの例は「SGT Star」というエージェントで、やはりUSCで開発された。米国陸軍に勧誘するWebサイト(http://www.goarmy.com/ask-sgt-star.html)で使われている。音声認識の機能はないが、例えば「給料はいくらですか」といった質問を文字で入力すると、答えてくれる。

本記事は、2013年5月17日に本誌が主催したNEアカデミー「音声認識・対話技術の基礎と最新動向」の河原氏の講演を基に、編集・加筆したものである。
河原 達也 かわはら・たつや
京都大学 学術情報メディアセンター 教授
1989年、京都大学 大学院 修士課程 修了。1990年に京都大学工学部 助手。1995年に同助教授、2003年に同大学学術情報メディアセンター教授に就任し、現在に至る。この間、1995年~1996年に米Bell Laboratories客員研究員、1998年~2006年に国際電気通信基礎技術研究所(ATR)客員研究員、1999年~2004年に国立国語研究所非常勤研究員。2006年からは情報通信研究機構(NICT)短時間研究員・招へい専門員も務める。音声言語処理、特に音声認識および対話システムに関する研究に従事する。(所属と肩書きは記事執筆当時のものです)