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徴兵された子を持つ親にも恩恵

 国防部が進めている、兵士を対象にした遠隔医療事業も軌道に乗り始めた。2015年8月には、国軍医務司令部内に遠隔医療を行うための総合センターがオープンした。軍の遠隔医療は、遠隔診療と遠隔ヘルスケアに分けて実施する。この取り組みについても「特殊な環境での遠隔医療」として医師会は反対しなかった。

 軍が遠隔医療に積極的なのは、北朝鮮との国境のすぐ近くにある非武装地帯や、離島、移動が不便な山奥にある軍部隊の兵士を想定しているためだ。軍部隊には軍医官がいるが、他の兵士と同じく徴兵で軍にいる研修医であるため、専門医が必要なケースでは国軍病院に移送するしかない。加えて、軍部隊に病院並みの施設をそろえることは難しい。離島や山奥にある軍部隊では、気象悪化で移送ができなくなり、兵士の疾病が悪化するといった事例もあった。

 この遠隔診療では、軍部隊にいる軍医官が国軍医務司令部内にある遠隔医療支援センターに診療を要請。センターにいる軍の専門医が、テレビ電話と遠隔診療用システムを使って診療する。遠隔診療用システムは、電子聴診器や医療用スコープ、心電図計などから成る。患者のデータを送信できたり、診療記録を保存できたりする機能を備える。

 軍では、病気を予防することを目的とした「遠隔ヘルスケア」も行われている。この取り組みでは、兵士らが「やせたい」「禁煙したい」「健康な状態を維持したい」といった健康に関する目標を立てる。兵士の健康診断結果を基に、遠隔ヘルスケアセンターが一人ひとりに適した運動や食事をアドバイス。兵士は軍部隊にある健康管理ブースで定期的に体組成や血圧を測定し、遠隔ヘルスケアセンターに送信する。このデータをヘルスケアの専門家が分析し、兵士らと随時相談しながら健康増進をサポートする。

 韓国は徴兵制を採用しているため、子供が軍にいる間に病気やケガをしないか心配する親の間では、遠隔医療が必要という意見が多かった。国軍医務司令部も「兵士の健康維持だけでなく、子供が軍にいる親を安心させることのできる医療システムを作る」としている。