PR

――都心で内科診療を行っている立場から、どのような点で遠隔診療のニーズを感じていますか。

 本当は毎回通院してもらう必要はないんだけど…。日々の診療で、そんな風に感じる患者がかなり沢山います。例えば、血圧をコントロールする薬を処方している患者の場合、血圧手帳の記録をスマートフォンで撮影し、そのデータをメールで送ってもらえさえすれば実は十分なんですね。

[画像のクリックで拡大表示]

 実際、2014年に高血圧診療のガイドラインが変わり、「家庭血圧重視」の方向になりました。「診察室で血圧を測る」ことは、高血圧診療においては必ずしも重要でないという認識が共有されたわけです。

 こうした流れにもかかわらず、実地診療では依然として対面診療が原則です。そのため、患者が多忙なビジネスパースンであるような場合、通院を継続できずに治療がしばしば中断してしまう。それによって、症状を悪化させてしまうケースが多いんですね。高血圧患者の場合、血圧をうまくコントロールできなくなって、脳血管や心疾患の重大イベントが突然発生したり、入院が必要になってしまったりするわけです。

 アトピー性皮膚炎のような皮膚疾患などにも同じことが言えます。症状が軽いうちに保湿剤や適切な強度のステロイドをこまめに塗っていれば悪くならないのですが、通院できず、薬を受け取れないことが要因で状態を悪くしてしまう。

 臨床現場で感じている遠隔診療のニーズと、これまでの制度的な縛りの間にはかなりギャップがある。これが実感ですね。