デジタルマーケティングの実験場

 クラブJリーグはさまざまなデジタル施策の実験場でもある。

 デジタル施策はデータがなければ始まらない。そこで重要になるのが、JリーグIDである。JリーグIDは、性別や年齢などの情報の他に、チケットの購入履歴や各クラブが独自に販売する前売り券(シーズンチケット)の情報などもひもづけられている。

 クラブJリーグも同IDの登録を使用の前提としている。紙のチケットで入場する場合でも、ユーザーがアプリのチェックイン機能を利用すれば、Jリーグ側はスタジアムにどんな属性の人が来たかを把握できる仕組みである。使用者がより増えるほど、Jリーグ側は試合ごとにスタジアムに来場する人の属性データをより多く取得できる。従来は、年1回程度のアンケートによる調査しか来場者の属性データを取得する方法はなかった。

 実は来場者の属性データは、Jリーグに所属するクラブにとって喉から手がでるほど欲しい情報である。「これまでは試合ごとの観客の男女比や年齢層などは、現場の肌感覚でしか把握できなかった」(あるJリーグ クラブの広報担当者)。試合ごとに観客の属性データが取得できれば、属性に特化した集客キャンペーンを実施した場合、その効果をすぐに測定できる。Jリーグのクラブの中には、カメラと画像認識技術を用いて独自に観客の属性データを取得しようとする取り組みもあるほどだ。

 しかし、そういった取り組みができるのは、一部の資金力があるクラブに限られる。そこでJリーグが自ら投資してデータを取得し、中小クラブを含む全クラブにデータを提供することで、リーグ全体の集客を活性化する狙いだ。